セッション情報 |
口演
膵臓 診断
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タイトル |
O-325:切除不能膵癌に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検検体を用いたgemcitabine感受性予測因子の検討
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演者 |
江藤 和範(苫小牧市立病院消化器内科) |
共同演者 |
河上 洋(北海道大学病院消化器内科), 坂本 直哉(北海道大学病院消化器内科) |
抄録 |
【目的】切除不能膵癌に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)検体を用いて,gemcitabine(GEM)感受性予測因子の検討を行うこと.【方法】2007年8月より2010年9月までの間に当院で施行したEUS-FNA 315例のうち,切除不能膵癌(腺癌)と確定診断した71例を対象とした.そのうち,56例はGEMによる治療をうけ(GEM治療群),残り15例は無治療であった.EUS-FNAは術中迅速細胞診後に,凍結保存し,全RNAを抽出した.GEM感受性予測因子としてhENT1,dCK,RRM1,RRM2,Notch3の5つの遺伝子発現量をqRT-PCRで定量した.検討項目は,1)GEM投与群におけるmRNAの発現量と全生存期間および無増悪期間との関連性.2)GEM投与群における増悪予測因子,3)全例における増悪予測因子,4)全例の生存期間における各予測因子とGEM治療の有無との交互作用,の4項目とした.【結果】患者背景は,平均年齢 68歳(37-88),男女比35:36,腫瘍局在は頭部30:体尾部41,UICC TMN stage(7th)III 20:IV 51,GEM投与群における治療効果判定(RECIST,ver.1.0)はCR 0:PR 1:SD 34:PD 21,GEM施行コース数中央値は4(1-31)であった.mRNAは全例で抽出可能であった.1)全生存期間は,Notch3低発現で長い傾向がみられた(低vs.高=23.6 vs. 19.3 months,P=0.068).無増悪期間は,hENT1高発現(低vs.高=15 vs. 21ヵ月,P=0.051),Notch3低発現(低vs.高=31 vs. 21ヵ月,P=0.051)で長い傾向がみられた.2)hENT1低発現(高vs.低=1 vs. 62.6,P=0.010)が増悪予測因子として抽出された.3)hENT1低発現(高vs.低=1 vs. 90.0,P=0.0069),Notch3高発現(高vs.低=1 vs. 0.0253,P=0.0021)が増悪予測因子として抽出された.4)hENT1(P=0.0054),Notch3(P=0.0047)が抽出された.【結語】EUS-FNA検体を用いたhENT1,Notch3 mRNA発現量の測定は,GEM感受性予測に有用である可能性が示された. |
索引用語 |
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