セッション情報 口演

膵臓 診断

タイトル O-327:

当院におけるinterventional EUS導入後の成績と今後の課題

演者 三長 孝輔(日赤和歌山医療センター消化器内科)
共同演者 山下 幸孝(日赤和歌山医療センター消化器内科), 北野 雅之(近畿大学消化器内科)
抄録 【背景と目的】当院では2011年1月よりコンベックス型EUS(オリンパスEU-ME1,UCT260)を整備し,interventional EUSを導入した.導入に当たっての問題点及び成績について検討した.【対象と方法】2011年1月から2012年8月までにinterventional EUSを施行した74例のうち,胆膵疾患を対象とした59例(FNA52例,治療7例)を遡及的に検討した.【結果】FNAは全例1セッションの施行,平均穿刺回数2.1回,22G穿刺針を主に使用した.疾患内訳は膵・胆管癌46例(膵頭部22例,体尾部22例,下部胆管2例),神経内分泌腫瘍2例,悪性リンパ腫1例,漿液性嚢胞腺腫2例,自己免疫性膵炎1例.全体での検体採取率98%,組織採取率90%であり,穿刺に伴う合併症は認めなかった.病理診断は当初検体のみを提出し,結果を得た後,再度直接協議し最終病理診断を得た.膵・胆管癌の協議前/後の感度70%/76%,偽陰性率(非腫瘍性と診断)15%であった.EUS治療では,腹腔神経叢融解術(EUS-CPN)4例,胆道ドレナージ(EUS-CDS,EUS-HGS)2例,膵仮性嚢胞ドレナージ(EUS-CD)1例を施行した.EUS-CPNでは3/4例で疼痛緩和に有効で鎮痛薬を減量できた.EUS-CDS,HGSはERCP不成功例2例に施行し減黄に成功した.EUS-CDでは著明な嚢胞縮小が得られた.いずれも処置に伴う合併症は認めなかった.【考察】FNAでは膵・胆管癌の正診例では組織診陽性率が77%と高く,十分な検体量の採取が診断に寄与すると考えられた.他報告に比べ悪性疾患の診断感度が低く,24%(11例)でFNA単独では診断できなかった.偽陰性例は7例あり,小病変や太い血管の介在等で十分なストロークや正確な狙撃をできなかったことが原因と考えられた.一方で4例では細胞診で細胞異型は認めるもののClass3の結果で診断に至らなかった.今後の診断能の向上には,穿刺針の選択や穿刺方法の工夫による採取率の向上を図るとともに,病理との連携を深めることが肝要と考えられた.EUS治療では先進施設での見学,研修,指導を経て導入したため円滑に実施可能であった.
索引用語