セッション情報 口演

膵炎1

タイトル O-332:

高齢者急性膵炎の臨床的特徴とscoring systemの有用性についての検討

演者 武田 剛志(関東中央病院消化器内科)
共同演者 高原 楠昊(関東中央病院消化器内科), 川瀬 建夫(関東中央病院消化器内科)
抄録 【目的】当院における高齢者急性膵炎の臨床的特徴とscoring systemの有用性について検討した.【方法】対象は2004年12月から2012年6月までに当院で経験した急性膵炎131例.高齢者群(70歳以上)44例と非高齢者群(69歳以下)87例の2群に分け,臨床的特徴を検討した.また死亡・臓器不全・膵壊死を指標として急性膵炎の重症化予測に対する高齢者におけるscoring systemの有用性についても検討した.【結果】非高齢者群(平均年齢46歳,男性85%)では,成因はアルコール性(76%)/特発性(13%).高齢者群(平均年齢80歳,男性55%)では,胆石性(52%)/特発性(25%).検査所見では,PLTとCaは高齢者群で低値を示したが,WBC,ピークCRP,Amy,BUNは両群間で差がなかった.非高齢者群/高齢者群でAPACHEII(平均)は4.4/10.7,BISAP(平均)は0.5/1.8と高齢者群で高値であったが,CTSI(平均)は3.1/2.6と差がなかった.重症膵炎と判定されるAPACHEII≧8,BISAP≧3,厚労省重症度判定基準(予後因子)≧3,CTSI≧3の割合は,非高齢者群/高齢者群で各々11%/77%,1%/23%,2%/16%,63%/57%となり,CTSI以外のscoring systemで高齢者群が重症と判定される割合が高かった.非高齢者群/高齢者群で,臓器不全,死亡,膵壊死は,各々4人/8人,1人/2人,2人/1人であった.非高齢者群で,死亡・臓器不全・膵壊死に対するAPACHEII・BISAP・厚労省重症度判定基準(予後因子)・CTSIのAUCsは,死亡で0.94/0.96/0.94/0.77,臓器不全で0.74/0.77/0.80/0.76,膵壊死で0.98/0.96/0.94/0.89であり,高齢者群では,死亡で0.94/0.86/0.80/0.54,臓器不全で0.78/0.79/0.82/0.61,膵壊死で各々0.94/0.86/0.95/0.54であった.【結論】高齢者では女性例・胆石例が多く,重症例が多かった.非高齢者においてはAPACHEII・BISAP・厚労省重症度判定基準(予後因子)は予後予測において同等に有用であると考えられたが,高齢者においてはAPACHEIIの方が有用であると考えられた.
索引用語