セッション情報 口演

膵炎1

タイトル O-333:

急性胆石性膵炎に対する内視鏡的膵管ステント留置術

演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院消化器科)
共同演者 小柴 裕(伊達赤十字病院消化器科), 岡川 泰(伊達赤十字病院消化器科), 和田 浩典(伊達赤十字病院消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院消化器科), 前田 喜晴(伊達赤十字病院外科), 佐藤 正文(伊達赤十字病院外科), 川崎 亮輔(伊達赤十字病院外科), 行部 洋(伊達赤十字病院外科), 中島 誠一郎(伊達赤十字病院外科), 嘉成 悠介(札幌医科大学第四内科)
抄録 【目的】内視鏡的膵管ステント留置術(EPS)は,ERCP後膵炎予防や様々な膵疾患の治療に有用な手技であるが,急性胆石性膵炎(ABP)に対するEPSの有用性に関する報告は散見されるのみである.今回,ABPに対するEPSの妥当性を検討した.【方法】対象はH14年1月~H24年6月に経験したABP87例のうち入院48時間以内にEPSを施行した23例(年齢54~91歳,平均75歳,男性10例).入院時血清アミラーゼ値は435~5600(平均1781)IU/L,厚労省急性膵炎重症度判定基準(2010年)の重症度では重症7例,軽症16例,予後因子0~4(中央値2),CT gradeはGrade1 20例,Grade2 2例,Grade3 1例であった.有胆嚢(結石有)は17例(74%),抗凝固剤・抗血小板剤内服例は9例(39%)であった.膵管ステントは5Fr3cm両端flap付Geenen pancreatic stent(COOK Endoscopy)を使用した.検討項目は1)ERCP関連手技内容,2)偶発症,3)転帰とした.【結果】1)初回ERCP検査時間は19~60分(平均32.5分),当日胆管挿管可能例は20例(87%)で7例は膵管ガイドワイヤー留置法によった.乳頭切開術施行16例(EST 10例,needle knife precut6例),胆管ドレナージのみ7例で,当日の截石は2例のみに施行した.EPS留置期間は2~124日(中央値19日)であった.2)翌日血清アミラーゼ値の上昇2例(9%),出血2例(重症1,軽症1),胆嚢炎10例(43%),膵管ステント閉塞,脱落が1例ずつであった.3)胆摘は10例に施行され,入院期間は8~124日(中央値18日)であった.膵仮性嚢胞の併発,感染性膵壊死(内視鏡的ネクロセクトミー施行)を1例ずつに認めた.ABPによる死亡例,結石および膵炎再発は認めなかった.【結論】ABPに対するEPSは重症急性膵炎への進展の防止およびABPの早期治癒に有効である可能性があり,ESTを施行すべきでない抗凝固薬・抗血栓剤内服例に有用である.真の有用性・安全性の検証にはmulticenter prospective RCTが必要である.
索引用語