セッション情報 | 口演膵炎2 |
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タイトル | O-336:慢性膵炎における消化吸収能マーカーとしてのインクレチン値の検討と膵性糖尿病に対するDPP-4阻害剤シタグリプチンの投与効果 |
演者 | 瀧井 道明(大阪医科大学看護学部) |
共同演者 | 増田 大介(大阪医科大学第二内科), 井元 章(大阪医科大学第二内科), 小倉 健(大阪医科大学第二内科), 福西 新也(大阪医科大学第二内科), 井上 拓也(大阪医科大学第二内科), 梅垣 英次(大阪医科大学第二内科), 樋口 和秀(大阪医科大学第二内科) |
抄録 | 【目的】慢性膵炎においては消化障害によるインクレチンの分泌不全が予想され,インスリン分泌能低下型の膵性糖尿病に対してDPP-4阻害剤は膵β細胞保護作用による有用性が期待される.これらの仮説を検証することを目的とした.【方法】対象患者は外来通院慢性膵炎患者28例で,内訳はA群:疑診例8例,B群:画像上準確診例8例,C群:膵石などが認められる確診例12例である(糖尿病はA群:3例,B群:4例,C群:5例の計12例).1)全例空腹時に血漿中GIP,活性型GLP-1値や各種糖代謝マーカーを測定した.2)SU剤により既にコントロールされていた糖尿病3例(B群:1例,C群:2例)に対してはSU剤を減量してシタグリプチン50mgを投与開始し,新規発症糖尿病3例(A群:1例,B群:1例,C群:1例)に対してはシタグリプチン50mgを単独投与開始した.これらの6例では3か月毎にGIP,GLP-1値,各種糖代謝マーカーを測定して6~18か月間フォローした.【成績】1)慢性膵炎の進行所見に応じて消化障害を反映してGIPは減少傾向を示した.一方,GLP-1は逆に増加傾向を示してC群糖尿病非合併例では最も高値であったが,C群糖尿病例では減少傾向を示した.2)シタグリプチンを投与した6例のうち,C群新規発症糖尿病1例ではシタグリプチンは無効でインスリン治療導入となったが,他の5例ではシタグリプチンは有効であり,3例ではシタグリプチン単独でHbA1cは良好にコントロールされた.これらの有効例ではGLP-1,GIP値の上昇傾向が認められた.【結論】消化障害の進行に対応するGIPとGLP-1の相反する分泌動態から,慢性膵炎では炭水化物や脂肪の消化吸収の場は上部小腸よりも下部小腸へ移行していることが推測された.そして,膵性糖尿病の比較的軽症例に対しては,シタグリプチンはインクレチン濃度を維持してインスリン治療導入を長期的に遅延させる効果が期待された. |
索引用語 |