セッション情報 口演

胆道 診断

タイトル O-341:

ERCPからみた高齢者胆膵内視鏡診療

演者 南 智之(広島大学消化器・代謝内科)
共同演者 佐々木 民人(広島大学消化器・代謝内科), 芹川 正浩(広島大学消化器・代謝内科), 小林 賢惣(広島大学消化器・代謝内科), 神垣 充宏(広島大学消化器・代謝内科), 岡崎 彰仁(広島大学消化器・代謝内科), 行武 正伸(広島大学消化器・代謝内科), 石垣 尚志(広島大学消化器・代謝内科), 石井 康隆(広島大学消化器・代謝内科), 小酒 慶一(広島大学消化器・代謝内科), 毛利 輝生(広島大学消化器・代謝内科), 吉見 聡(広島大学消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学消化器・代謝内科)
抄録 目的:ERCP症例の検討から高齢者に対する胆膵内視鏡診療の特徴を明らかにする.方法:2008年から2011年の期間にERCPおよび関連手技を行った2265例を対象に,80歳以上の超高齢者をA群,65歳以上79歳以下の高齢者をB群,64歳以下の非高齢者をC群とし,原疾患,併存疾患,PS,目的達成率,偶発症,循環抑制・呼吸抑制,鎮静薬による苦痛軽減効果を比較検討した.尚,鎮静薬はmidazolamを検査開始時に投与し必要に応じて適宜追加投与行っている.結果:A/B/C群における原疾患は悪性腫瘍(膵癌,胆管癌等)37.6/37.0/22.6%,良性腫瘍(IPMN,SCN等)9.6/8.1/5.7%,胆管結石36.3/12.1/7.9%,慢性炎症(慢性膵炎,硬化性胆管炎等)2.5/22.0/21.1%と高齢者では悪性腫瘍と胆管結石が多く慢性炎症性疾患は非高齢者に比べ少なかった.併存疾患保有率は85.4/72.9/69.7%,PS2以上の割合は26.1/5.6/5.0%であった.目的達成率は94.3/95.5/96.3%(p=0.628),急性膵炎等のERCP関連偶発症は4.6/4.2/2.5%と有意差は認めなかった(p=0.233).また,鎮静に伴う偶発症である循環抑制は全症例中10例(0.45%)に認めたが80歳以上の超高齢者では認めなかった.呼吸抑制は19.7/14.2/6.0%に認めたが検査中止に至ったものはA群とC群の各1例ずつのみであった.検査に関する苦痛を覚えていない,軽度,高度の3つに分けるとA/B/C群では覚えていない62.4/34.2/19.3%,軽度18.5/39.7/43.2%,高度19.1/26.1/37.5%と高齢者で苦痛軽減効果が優れていた.苦痛に関する要素と考えられる検査時間は40.7/37.6/39.2分と高齢者で短くはなく,midazolam投与量は0.065/0.074/0.075mg/kgと超高齢者での投与量が有意に少なかった(p=0.0001).結語:高齢者に対するERCPの目的達成率は非高齢者と同等であった.高齢者ではmidazolamの作用は強く発現するため呼吸抑制に注意が必要であるが,慎重に使用することで安全に鎮静が可能であった.
索引用語