セッション情報 口演

胆道 内視鏡治療

タイトル O-346:

胃切除後患者に対するダブルバルーン内視鏡(DBE)を用いた胆膵内視鏡治療における二酸化炭素(CO2)送気の有用性

演者 岩田 恵典(兵庫医科大学肝胆膵科)
共同演者 長谷川 国大(兵庫医科大学肝胆膵科), 由利 幸久(兵庫医科大学肝胆膵科), 楊 和典(兵庫医科大学肝胆膵科), 石井 昭生(兵庫医科大学肝胆膵科), 高嶋 智之(兵庫医科大学肝胆膵科), 坂井 良行(兵庫医科大学肝胆膵科), 會澤 信弘(兵庫医科大学肝胆膵科), 岩田 一也(兵庫医科大学肝胆膵科), 池田 直人(兵庫医科大学肝胆膵科), 田中 弘教(兵庫医科大学肝胆膵科), 榎本 平之(兵庫医科大学肝胆膵科), 斎藤 正紀(兵庫医科大学肝胆膵科), 今西 宏安(兵庫医科大学肝胆膵科), 飯島 尋子(兵庫医科大学肝胆膵科), 河野 友彰(兵庫医科大学下部消化管科), 神野 良男(大同クリニック), 中村 志郎(兵庫医科大学下部消化管科), 松本 譽之(兵庫医科大学下部消化管科), 西口 修平(兵庫医科大学肝胆膵科)
抄録 【目的】ダブルバルーン内視鏡(DBE)の出現により胃切除後で胆膵内視鏡が困難な患者に対して,内視鏡的なアプローチが可能となった.近年内視鏡的粘膜下層剥離術において,腹部膨満軽減を目的とした二酸化炭素(CO2)送気の有用性が報告されている.今回我々は胃切除後患者のERCPにおいて,CO2送気を使用したDBEが有用であったため報告する.【対象と方法】対象は2007年4月から2012年8月までに胃切除後患者に対してERCPを施行した35症例(62回).通常直視鏡ではvater乳頭への到達が困難であった26症例(45回)に対して,DBEを使用してERCPを試みた.2011年9月からはRoux-Y再建(R-Y)例に対してDBEにてERCPを行う際にCO2送気を使用し,CO2送気使用前(前期;9例),CO2送気使用後(後期;6例)でのvater乳頭到達率,胆管深部挿管率,偶発症発生率,検査時間についての検討を行った.【成績】R-Y例15症例(19回)では,vater乳頭到達率は89.5%(17/19),胆管深部挿管成功率は84.2%(16/19)であった.偶発症は1例で内視鏡を挿入する際に腸管穿孔を経験した.R-Y例でのERCPにおいて,前期と後期での乳頭到達率,胆管深部挿管率に有意差はなく,CO2使用に伴う偶発症は見られなかった.平均乳頭到達時間は前期45分から後期28分と著しく短縮したが,平均胆管深部挿管時間は前期19分52秒から後期19分48秒と短縮されなかった.【結語】胃切除後患者の胆膵内視鏡検査では,DBEを使用することで良好に内視鏡治療を行うことができた.今回のCO2送気対象症例では検査時間は短縮し術後経過も順調であったが,今後は呼吸機能低下を有する可能性がある患者に対しては,術前,術中に呼吸機能の評価を行い,内視鏡治療時のCO2送気の安全性を検討する必要がある.
索引用語