セッション情報 口演

胆道 他

タイトル O-348:

胆管周囲付属腺と細胆管の異同に関する免疫組織化学的検討

演者 佐藤 保則(金沢大学形態機能病理学)
共同演者 原田 憲一(金沢大学形態機能病理学), 佐々木 素子(金沢大学形態機能病理学), 中沼 安二(金沢大学形態機能病理学)
抄録 【目的】近年,肝門部~肝外胆管に存在する胆管周囲付属腺に前駆細胞のニッチが存在することが報告され,組織再生や腫瘍発生との関連から注目されている.肝内ではへリング管に前駆細胞のニッチが存在し,さまざまな肝疾患で出現する細胆管反応は肝前駆細胞の増生とする見方がある.胆管周囲付属腺と細胆管とは類似した細胞形質を共有する可能性があるが,その詳細は不明である.今回,両者の異同を免疫組織化学的に検討した.【方法】材料は剖検肝のホルマリン固定パラフィン包埋切片.胆管周囲付属腺は組織学的正常肝(11例),細胆管は種々の原因による肝硬変症例(10例)を対象として評価した.また,肝門部および肝内でみられる非腫瘍性の上皮性病変として各々,胆管周囲嚢胞(16例)とvon Meyenburg complex(VMC)(11例)を検討対象とした.EpCAM,NCAM,CK19,MUC1,vimentinに対する免疫染色を行い,結果を半定量的に評価した.胆管周囲付属腺は壁外腺の漿液腺房と粘液腺房に分けて評価を行った.【結果】胆管周囲付属腺(漿液腺房,粘液腺房)と細胆管,胆管周囲嚢胞,VMCはいずれもEpCAMとCK19を発現していたが,粘液腺房でCK19,VMCでEpCAMの発現が低下していた.MUC1は漿液腺房と細胆管の一部の管腔側が陽性を示し,粘液腺房や胆管周囲嚢胞,VMCでの発現はあってもわずかであった.NCAMとvimentinは細胆管で高頻度に発現し,漿液腺房や胆管周囲嚢胞,VMCでも一部の細胞が陽性を示した.粘液腺房にNCAM,vimentinの発現はほとんどなかった.【結論】細胆管は胆管周囲付属腺の粘液腺房より漿液腺房に近い性質を示したが,細胆管でNCAMやvimentinが有意に高頻度に発現している点で両者は異なっていた.胆管周囲嚢胞は漿液腺房とほぼ同様の性質を示し,また,VMCの細胞形質は細胆管とはやや異なっていた.
索引用語