セッション情報 口演

胆道 他

タイトル O-350:

当院における硬化性胆管炎に対する治療の現状

演者 丸野 敦子(東海大学病院消化器内科)
共同演者 川口 義明(東海大学病院消化器内科), 峯 徹哉(東海大学病院消化器内科), 小川 真実(東海大学病院消化器内科), 大宜見 美香(東海大学病院消化器内科), 仁品 玲子(東海大学病院消化器内科)
抄録 【背景】原発性硬化性胆管炎(PSC)は肝内外の胆管周囲の線維化から狭窄を呈する,原因不明の胆汁うっ滞性疾患である.特徴的胆管像,二次性硬化性胆管炎の否定により診断に至るが,IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の除外が困難であること,診断の決め手となるデータがないことが課題である.【目的】当院の硬化性胆管炎の診断治療の現状につき検討する.【対象】2006年4月~2012年7月に当院で経験した硬化性胆管炎56例(PSC12例(男女比1:2,平均年齢50.8歳),自己免疫性膵炎(AIP)9例(男女比2:1,平均年齢61.1歳),IgG4-SC4例(男女比3:1,平均年齢69.2歳),慢性膵炎26例(男女比12:1,平均年齢58.2歳),術後3例(男女比2:1,平均年齢67歳),胆嚢炎後1例(女性34歳),外傷後1例(男性80歳)).【結果】診断契機はPSC7例(58%),IgG4-SC3例(75%)が肝機能障害,黄疸であった.病変部位は,PSCは肝外+肝内胆管5例(42%),肝外胆管2例(17%),肝内胆管5例(42%).IgG4-SCは胆管像Type1,Type2aが1例(25%)ずつ,Type4が2例(50%).AIP,慢性膵炎はいずれも下部胆管,良性胆管狭窄(術後,胆嚢炎後,外傷後)5例も肝外胆管の狭窄を認めた.治療では,PSCはUDCAを10例(83%),PSLを4例(33%),ベザフィブラートを1例(8%)に投与.IgG4-SCではPSL投与は2例(50%)であった.AIPは2例(22%)にUDCA,7例(78%)にPSLを投与している.胆道ドレナージはPSC5例(42%),IgG4-SC2例(50%),AIP4例(44%),慢性膵炎18例(69%),良性胆管狭窄5例(100%)にステント留置を要した.予後はPSC2例(17%)が死亡(胆管癌,肝不全).IgG4-SCのPSL投与2例は1例(25%)が中止,1例(25%)が減量と,予後良好であった.AIPでもPSL投与例はいずれも減量可能となり,5例(56%)がステントフリー.慢性膵炎は9例(35%),良性胆管狭窄は2例(40%)がステントフリーとなっている.【結論】硬化性胆管炎症例では初回診断時,経過観察時の癌の鑑別が重要である.PSCは,胆道ドレナージに難渋する場合も少なくなく,肝移植も含め集学的治療を考慮する必要がある.
索引用語