セッション情報 口演

胆道 他

タイトル O-351:

IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)臨床診断基準2012の問題点 IgG4-SC確定診断困難症例の特徴

演者 増田 充弘(神戸大学消化器内科)
共同演者 有坂 好史(神戸大学消化器内科), 久津見 弘(神戸大学消化器内科), 塩見 英之(神戸大学消化器内科), 竹中 完(神戸大学消化器内科), 松木 信之(神戸大学消化器内科), 酒井 新(神戸大学消化器内科), 江崎 健(神戸大学消化器内科), 角山 沙織(神戸大学消化器内科), 原 重雄(神戸大学病理診断科), 早雲 孝信(神戸大学消化器内科), 味木 徹夫(神戸大学肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学肝胆膵外科), 東 健(神戸大学消化器内科)
抄録 [背景・目的]IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)では,原発性硬化性胆管炎(PSC)や悪性疾患との鑑別が困難で,診断に苦慮する症例が少なくない.過去にIgG4-SCの診断が困難であった症例を,新しく発表されたIgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012(診断基準2012)に則って再評価し,IgG4-SC診断困難例の特徴と診断基準2012の問題点を検討した.[方法]2007年1月から2012年7月までに当院にて経験したIgG4-SC確診例15例を対象としてretrospectiveに検討した.[結果]IgG4-SC確診例15例の内,12例で自己免疫性膵炎を含めた胆管外病変を合併し(合併群),3例は胆管病変単独例(単独群)であった.平均年齢は合併群:単独群で64.8歳:75歳であり,男女比は,それぞれ11;1,1:2であった.血清IgGおよびIgG4値は合併群:単独群でそれぞれ1816±1053mg/dl:1567±247 mg/dl,552±1148 mg/dl:269±230mg/dlであり,単独群で低い傾向を認めた.胆道造影による分類では,合併群でtype1を7例,type2を2例,type3を3例認めた.単独群は全例type4であった.合併群は胆管の硬化像及び自己免疫性膵炎の診断にて,全例手術なしに確定診断することが可能であったが,単独群は膵以外の硬化性病変を伴わず確定診断できなかったため,肝門部胆管癌が否定できず全例手術となり,術後の病理学的所見にて確定診断された.単独群の内,1例は胆管ブラシ細胞診class Vで癌と術前診断された.[結語]IgG4-SCの内,胆管外病変を伴わない症例はIgG4値も比較的低く,胆管癌との鑑別に苦慮する症例である.このような症例に対して新しい診断体系が必要である.
索引用語