セッション情報 口演

胆道 他

タイトル O-352:

インスリン非依存性糖尿病の胆石症合併におけるリスク因子の臨床的検討

演者 西村 典久(奈良県立五條病院消化器病センター内科)
共同演者 中西 啓祐(奈良県立五條病院消化器病センター内科), 堀内 葉月(奈良県立五條病院消化器病センター内科), 明石 陽介(奈良県立五條病院消化器病センター内科), 竹田 幸祐(奈良県立五條病院消化器病センター内科), 櫻井 伸也(奈良県立五條病院消化器病センター内科), 森安 博人(奈良県立五條病院消化器病センター内科), 松本 昌美(奈良県立五條病院消化器病センター内科), 佐伯 圭吾(奈良県立医科大学地域健康医学)
抄録 【目的】2型糖尿病には胆石症合併が多いとされている.しかし,2型糖尿病は他の危険因子である脂質異常症(HL)などと併存しやすいため,交絡要因である可能性も否定できない.本解析では2型糖尿病関連因子と胆石合併割合の関連を明らかにすることを目的とした.【方法】当院にて薬物療法中の2型糖尿病患者(肝疾患を除く)のうち,2008年11月から2010年11月の間に腹部超音波検査を施行した231例(男性126例,女性105例,平均年齢67.9歳)を対象として,胆石および胆嚢摘出術後の症例を保有群(GB群),残りを非保有群(NS群)に分けた.胆石合併割合と2型糖尿病関連因子(罹病期間,HbA1c,インスリン療法の有無)および,その他の背景因子(年齢,性別,BMI,HL治療薬,降圧薬,脂肪肝)や血清学的検査(AST,ALT,γ-GTP,総コレステロール(TC),HDLコレステロール(HDLC),中性脂肪(TG))との関連をロジスティック回帰分析で検討した.【結果】1)GB群は47例(男性22例,女性25例,平均70.8歳),NS群は184例(男性104例,女性80例,平均67.2歳)であった.背景因子では,BMIがGB群で平均25.7%,NS群で平均24.1%,HL治療薬投与の割合がそれぞれ68%,51%と有意差を認めた.また,血清学的検査では,HDLCがそれぞれ55.0mg/dl,62.9mg/dl,TGが192.8mg/dl,135.3mg/dlであり,有意差を認めた.2)粗オッズ比では,罹病期間,BMI,HDLC,TG,HL治療薬で有意差を認めた.年齢,罹病期間,BMI,HDLC,TG,HL治療薬の有無で同時に調整したオッズは,罹病期間が1.05(95%信頼区間,1.002,1.101)と有意であった.【結論】2型糖尿病では脂質異常症や肥満の併存が胆石症合併のリスクであるが,罹病期間の長さも独立した胆石症合併の危険因子である可能性が示唆された.
索引用語