セッション情報 | ポスターGERD |
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タイトル | P-008:食道内プロスタグランジンと胸やけ症状発現との関連 |
演者 | 近藤 隆(兵庫医科大学内科学上部消化管科) |
共同演者 | 大島 忠之(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 山崎 尊久(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 奥川 卓也(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 李 兆亮(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 豊島 史彦(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 櫻井 淳(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 池原 久朝(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 田中 淳二(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 富田 寿彦(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 福井 広一(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 渡 二郎(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 伊達 一郎(小野薬品工業株式会社研究本部水無瀬研究所), 古根村 崇(小野薬品工業株式会社研究本部水無瀬研究所), 岡田 啓希(小野薬品工業株式会社研究本部水無瀬研究所), 三輪 洋人(兵庫医科大学内科学上部消化管科) |
抄録 | 【背景】逆流性食道炎における胸やけ症状発現には,食道における炎症性物質の関与も考えられているが詳細は明らかではない.一方,プロスタグランジン(PG)は,その受容体を介して多種多様な生理作用を示し,特にプロスタグランジンE2(PGE2)とその受容体であるEP1は,痛覚過敏に重要な役割を果たしていることが報告されている.そこで我々は,胸やけ症状発現と食道内PGとの関連,及び食道におけるEP1受容体の発現につき検討した.【方法】上部消化器症状を有さない健常成人7名を対象とした.酸還流試験(1%塩酸を8mL/minで30分間)の直前と直後に,経鼻内視鏡下で下部食道粘膜を採取し,PGE2,PGF2α及びPGD2濃度(pg/mg protein)をELISA法で,EP1受容体の発現をRT-PCR法とWestern blotting法により測定した.酸還流試験中の胸やけ症状は,1から13のカテゴリに分けた知覚スコアを用いて評価した.【結果】酸還流後の下部食道粘膜内のPGE2とPGF2α濃度は,酸還流前と比べて有意に高値であった(PGE2:23.2±8.6 vs.68.6±18.3,p<0.05,PGF2α:38.4±11.5 vs.91.6±20.3,p<0.05).一方,PGD2濃度は,酸還流前後で有意差はなかった.また酸還流群のFirst sensation timeは,生食還流群と比べ有意に早く(22.1±4.1 vs. 5.4±1.5,p<0.05),同時に胸やけスコアも有意に高値であった(54.3±13.1 vs. 178.5±22.8,p<0.01).さらに,胸やけスコアとPGE2濃度の変化は有意な相関を示したが(r=0.80,p=0.029),PGF2α濃度とでは有意な相関を示さなかった.また全例で,下部食道粘膜におけるEP1受容体の遺伝子発現及びタンパク質の発現が確認された.【結語】食道内の酸曝露により食道粘膜組織内でPGが増加し,その中でもPGE2は,EP1受容体を介して胸やけ症状誘発に関与することが示唆された. |
索引用語 |