セッション情報 ポスター

GERD

タイトル P-011:

わが国のびらん性逆流性食道炎は低年齢化に傾くか?(2010年 vs 2012年の経年変化に関する報告)

演者 池澤 和人(筑波記念病院消化器内科)
共同演者 岩井 健太郎(筑波記念病院消化器内科), 間宮 孝(筑波記念病院消化器内科), 杉山 弘明(筑波記念病院消化器内科), 添田 敦子(筑波記念病院消化器内科), 設楽 佐代子(筑波記念病院消化器内科), 中原 朗(筑波記念病院消化器内科), 兵頭 一之介(筑波大学医学医療系臨床医学域消化器内科)
抄録 【背景】わが国におけるヘリコバクター・ピロリ(HP)の感染率は年々低下しており,日本人の胃内環境の変化,すなわちpH低下の進行が推測される.それに伴って逆流性食道炎(GERD)発症の増加が危惧され,とくに若年層での発症が目立ちつつある.【目的】内視鏡によるびらん性逆流性食道炎の診断年齢に変化がみられるか,を検索した.【方法】2010年1月~6月までに症状の有無にかかわらず内視鏡検査を受け,粘膜びらんを伴うGERDであると診断された新規患者を対象群として,2年後の2012年1月~6月に診断された患者群との間で,おもに年齢構成についての比較検討を行った.【結果】2010年1月~6月期は144名平均年齢65.3歳であった.一方,2012年1月~6月期では138名平均年齢66.3で年齢に有意差を認めなかった.しかし,ロサンゼルス(LA)分類gradeAまたはB症例では,2010年1月~6月期は102名65.7歳,2012年1月~6月期は86名61.8歳と3.9歳の若年化傾向を認めた(t検定:p=0.08).LA分類gradeCまたはD症例では,14例68.0歳から18例74.6歳へと6.6歳の高齢化を認めたが症例数が少なく,統計学的に差はなかった(Welchの方法によるt検定:p=0.18).【考察】内視鏡的に新規に診断されたびらん性GERD全体の平均年齢は,横ばいであったにもかかわらず,粘膜びらんの軽症群では若年化する傾向を示した.これは,若年であっても積極的に内視鏡検査を受診するようになったことや,脂質摂取量の増加や食生活の変化,HP感染者の減少など,胃酸分泌が亢進へ向かう条件が重なったことなどが,その原因であろうと推察された.【結論】びらん性逆流性食道炎では,軽症例で若年化が少しづつ進行している可能性がある.
索引用語