セッション情報 ポスター

大腸炎1

タイトル P-017:

当院におけるアメーバ性大腸炎,赤痢アメーバ感染症の検討

演者 青柳 裕之(福井県立病院消化器内科)
共同演者 伊部 直之(福井県立病院消化器内科), 鳥居 志充(福井県立病院消化器内科), 西山 悟(福井県立病院消化器内科), 内藤 慶英(福井県立病院消化器内科), 藤永 晴夫(福井県立病院消化器内科), 林 宣明(福井県立病院消化器内科), 波佐谷 兼慶(福井県立病院消化器内科), 辰巳 靖(福井県立病院消化器内科), 海崎 泰治(福井県立病院臨床病理科)
抄録 【目的】国内で見つかるアメーバ性大腸炎は,海外渡航者などの輸入感染症,あるいは免疫不全状態に続発する日和見感染といわれている.近年は男性同性愛患者に本症が見つかるケースも増えてきている.しかし交通網の発達や輸入加工食品の摂取量が増加している現状では海外渡航歴や同性愛の有無によらず同感染症に罹患する可能性がある.今回は当院におけるアメーバ性大腸炎,赤痢アメーバ感染症と診断された10例についてその臨床経過,患者背景を検討してみることを目的とした.【対象と方法】2000年4月1日から2012年3月31日までの12年間にて当院にてアメーバ性大腸炎,アメーバ感染症と診断された10症例を対象とした.対象患者の年齢,性,発症から治療までの期間,海外渡航歴の有無,経過中に認められた合併症について検討した.【成績】10症例の平均年齢は67.3歳であった.男女比は5対5にて性差は認められなかった.発症から治療までの期間は平均で26.5日であった.発症から治療までの期間が15日と治療開始が早いにもかかわらず死亡した症例も認められた.海外渡航歴は1人に認められたが4名は不詳で5名は海外渡航歴が認められなかった.経過中に認められた合併症はショック,DIC,上腸間膜動脈血栓症,小腸壊死,アメーバ性肺膿瘍,急性腎不全,結腸穿孔が認められた.【結論】アメーバ大腸炎,アメーバ感染症は比較的予後良好な疾患と報告されているが適切な加療にても致命的な経過を辿った症例が認められた.現代社会においては感染経路不明なアメーバ性大腸炎,赤痢アメーバ感染症が多いものと予想される.入院時に同疾患が診断されていることが少ないことから保存的加療にても改善が認められない症例には早期に下部消化管内視鏡検査を施行し,経過中に起こり得る合併症に対して備えるべきであると考えた.
索引用語