セッション情報 ポスター

大腸炎2

タイトル P-019:

強度変調放射線療法(IMRT)後における放射線性直腸炎24症例の臨床学的検討

演者 須古 信一郎(済生会熊本病院消化器病センター)
共同演者 吉田 健一(済生会熊本病院消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院消化器病センター), 工藤 康一(済生会熊本病院消化器病センター), 上川 健太郎(済生会熊本病院消化器病センター), 村岡 正武(済生会熊本病院消化器病センター), 井戸 佑実(済生会熊本病院消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院消化器病センター)
抄録 前立腺癌に対する治療として放射線治療が選択される例は多いが,その晩期合併症としての放射線性直腸炎は,しばしば経験する疾患である.当院では平成19年9月以降,前立腺癌に対してIMRTによる治療が行われているが,その利点は,強度変調照射により放射線に弱い組織への照射線量を低減できることであり,放射線治療に特有の有害事象も抑えられるとされている.今回我々は,当院においてIMRTを行って放射線性直腸炎を発症した24症例を対象に,症状の経過や病変の範囲,重症度について検討した.平成19年9月~平成24年8月まで当院でIMRTが施行された症例数は416症例あり,そのうち入院加療の対象となる放射線性直腸炎を発症したのは9例,外来での加療・経過観察となったのは15例であった.発症時期は治療後2か月~35か月であり,発症の平均期間は治療後15.7ヶ月であった.発見の契機となった症状は下血が最も多く24例中21例に認められたが,Hbが2.0g/dl以上低下するような多量の出血を呈したものは3例に過ぎなかった.病変範囲は12例で直腸Rb前壁に限局しており,重症度も多田分類0b・Iaが併せて18例であり,粘膜障害の程度は軽度であった.治療例はアルゴンプラズマ凝固療法が施行されたのが10例,薬物療法が施行されたのが2例,経過観察となったのが12例であった.一度アルゴンプラズマ凝固療法施行後に再出血を認めて再度アルゴンプラズマ凝固療法が追加されたのが1例,経過観察中に下血の増悪がありアルゴンプラズマ凝固療法が施行されたものが1例であった.いずれの治療後にも合併症の発症は認めなかった.以上のように,今回の検討ではIMRT後に発症した放射線性直腸炎は,病変は比較的限局され,粘膜障害も軽度であり,出血量も少ないという特徴が認められた.しかし,治療後の再出血も認められており,再発する可能性がどの程度あるのか,症例の蓄積が必要と考えられた.
索引用語