セッション情報 | ポスター大腸炎2 |
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タイトル | P-021:Brachyspira pilosicoli感染による腸管スピロヘータ症の3例 |
演者 | 竹澤 敬人(自治医科大学消化器肝臓内科) |
共同演者 | 笹原 鉄平(自治医科大学細菌学), 林 俊治(自治医科大学細菌学), 井野 佑二(自治医科大学消化器肝臓内科), 三浦 義正(自治医科大学消化器肝臓内科), 林 芳和(自治医科大学消化器肝臓内科), 佐藤 博之(自治医科大学消化器肝臓内科), 矢野 智則(自治医科大学消化器肝臓内科), 砂田 圭二郎(自治医科大学消化器肝臓内科), 足立 吉數(茨城大学農学部保健衛生学), 平井 義一(自治医科大学細菌学), 山本 博徳(自治医科大学消化器肝臓内科), 菅野 健太郎(自治医科大学消化器肝臓内科) |
抄録 | ヒト腸管スピロヘータ症(Human intestinal spirochetosis:HIS)は,1967年にHarlandとLeeにより初めて報告された.慢性下痢や血便等の腹部症状を伴うこともあるが,無症状の症例も多くみられる.2種の細菌Brachyspira pilosicoli(BP),Brachyspira aalborgi(BA)を原因とする感染症である.今回我々はBPに感染し症状を有した3症例について報告する.【症例】(症例1)62歳,男性.主訴は血便,下痢.既往:関節リウマチで内服治療中.大腸内視鏡検査(CS)で上行結腸を中心に発赤,浮腫を認め,横行結腸に潰瘍を認めた.生検,培養よりHISと診断.metronidazole(MNZ)で除菌をした.症状も改善し,内視鏡所見の改善,病理学的検査,細菌学的検査でも陰性を確認した.(症例2)38歳,女性.既往に潰瘍性大腸炎,内服なし.血便を主訴にCSを施行,盲腸から上行結腸,S状結腸,直腸に発赤,びらんが散見され,病理,培養でHISと診断した.全区域より分離培養に成功した.MNZで除菌.内視鏡所見,症状ともに改善,検査でも除菌を確認した.(症例3)39歳,男性.主訴は慢性の下痢.CSで特記事項は認めなかったが病理,培養でスピロヘータを確認した.症状もありMNZで除菌を行った.【考察】BA感染に比べ,BP感染のが症状を有する報告が多く,当院の症例でも同様の傾向である.内視鏡所見ではBPは発赤,浮腫等を認めるが,BAでは,明らかな所見のない報告例が多い.今回の3症例はすべてBPに感染しており,症状も有していた.症例3では明らかな内視鏡所見は認めていないが,3症例すべてBP感染が症状の原因と考え,薬剤感受性試験に基づいて除菌を行い,2症例では症状の消失を確認している.HISの病態は,現在のところ明らかではない.しかし我々は症状を有し,他に原因のない場合は除菌の適応と考えている. |
索引用語 |