セッション情報 ポスター

大腸炎2

タイトル P-023:

当院における腸管感染症の現状について(超音波検査の有用性)

演者 後藤 和人(社会保険直方病院)
共同演者 仁保 宏二郎(社会保険直方病院), 松本 真裕(社会保険直方病院), 坂本 茂(社会保険直方病院), 大谷 晃(社会保険直方病院)
抄録 腸管感染症とは細菌,ウイルス,原虫などが原因で起きる,下痢,嘔吐,腹痛などを呈する疾患群であり,病原体により重篤な症状を呈することが知られている.この病原体の同定(便培養検査)には数日かかるため,血液検査,CT,超音波検査,内視鏡検査などを用いて早期に診断予測を立てることが重要である.2009年6月より2012年8月までの当院における下痢症状などを呈した患者の便培養検査について解析した(偽膜性腸炎を除く).正常大腸菌などを除き,のべ161検体のうち18例(11.1%)に病原性大腸菌を認めた.その内訳は,O1 5例,O25 9例,044 1例,O86a 1例,O157 2例であった.その他の菌は緑膿菌18例,MRSA 13例,Campylobacter 2例などであった.2012年より腸管感染症に対して積極的に超音波検査を用い,補助的診断に有用であった.症例1 67歳,女性 来院時に嘔吐,下痢を認めた.腎機能障害も認めたため,超音波断層法を施行したところ,大腸には異常所見を認めず,小腸壁の浮腫性変化のみを認めた.後日,便培養検査にて病原性大腸菌O44を検出した.症例2 78歳,女性 下血を認めたため,内視鏡検査を施行したところ,横行結腸などに腸管の浮腫,出血を認めた.便培養検査では病原性大腸菌O157を検出しなかったが,超音波断層法検査では上行結腸より横行結腸にかけて層構造が不明瞭な肥厚を認めた.後日,O157 LPS抗体を調べたところ陽性であった.症例3 18歳,男性 強い右下腹部痛,下痢を認めたため,CTを施行したところ,上行結腸などに壁肥厚を認めた.超音波断層法にて同部位に層構造の明瞭な壁肥厚を認めたため,Campylobacterを疑った.便培養検査にてCampylobacterを検出した.以上より,当院にて腸管感染症において超音波検査が有用な症例を認めた.さらなる検討を加えて報告したい.謝辞 エコー室の荒木知佳さん,村上朋子さん,森真利子さんに感謝いたします.
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