セッション情報 ポスター

大腸 基礎

タイトル P-028:

13C酪酸注腸呼気試験を用いたマウス大腸炎の評価~漢方薬による治療効果を含めて~

演者 及川 哲郎(北里大学東洋医学総合研究所)
共同演者 遠藤 真理(北里大学東洋医学総合研究所), 星野 卓之(北里大学東洋医学総合研究所), 花輪 壽彦(北里大学東洋医学総合研究所)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎患者に13C酪酸を注腸後,呼気中13CO2排出量の増減により炎症の程度を評価出来ることが報告されているが,マウスでの13C酪酸注腸呼気試験の報告はない.そこで,13C酪酸注腸呼気試験でマウス大腸炎の評価が可能か検討するため,1)異なるDSS濃度で惹起させた大腸炎の程度と,13C酪酸注腸呼気試験の相関を解析した.2)トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)大腸炎やマスタードオイル(MO)過敏性腸症候群マウスを用い,DSS大腸炎以外のモデルでの評価を行った.3)漢方薬の治療効果を,13C酪酸注腸呼気試験が反映するか検討した.【方法】1)C57BL/6マウスに3%DSSを3日間投与し大腸炎を惹起させたのち,引き続き7日間,3種類の濃度でDSSを投与した.11日目に13C酪酸を注腸後60分まで連続して呼気を採取し,呼気中13CO2を測定した.炎症の程度は大腸全長,MPO活性で評価した.2)50mg/kgのTNBSを注腸後4日目に,或いは0.5%のMOを注腸後28日目に呼気試験を行った.3)漢方薬を4日目から1日1回投与し,11日目に呼気試験を行った.【成績】1)DSS投与後に大腸全長の有意な短縮と,MPO活性,炎症細胞浸潤と腺窩脱落範囲の有意な増加を認めた.また,13C酪酸注腸呼気試験のCmaxとAUCが有意に減少し,大腸全長との間に有意な正の相関,MPO活性,炎症細胞浸潤と腺窩脱落範囲との間に有意な負の相関を認めた.2)13C酪酸注腸後,炎症を認めないMO過敏性腸症候群マウスでは13CO2排出に変化はなく,TNBS大腸炎マウスでは排出が減少した.3)大腸炎に用いられる漢方薬(黄連解毒湯,柴苓湯)の投与後,大腸全長短縮の有意な改善,MPO活性の有意な減少とともに,13C酪酸注腸呼気試験による13CO2排出が増加した.【結論】13C酪酸注腸呼気試験は,治療効果判定を含めたマウス大腸炎の評価に有用である.
索引用語