セッション情報 | ポスター大腸 基礎 |
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タイトル | P-031:腸管炎症の回復期におけるMFG-E8による血管新生促進因子の発現制御に関する検討 |
演者 | 多田 育賢(島根大学医学部附属病院内科学講座第二) |
共同演者 | 石原 俊治(島根大学医学部附属病院内科学講座第二), 園山 浩紀(島根大学医学部附属病院内科学講座第二), 岡 明彦(島根大学医学部附属病院内科学講座第二), 楠 龍策(島根大学医学部附属病院内科学講座第二), 福庭 暢彦(島根大学医学部附属病院内科学講座第二), 大嶋 直樹(島根大学医学部附属病院内科学講座第二), 森山 一郎(島根大学医学部附属病院腫瘍センター), 結城 崇史(島根大学医学部附属病院光学医療診療部), 川島 耕作(島根大学医学部附属病院内科学講座第二), 木下 芳一(島根大学医学部附属病院内科学講座第二) |
抄録 | (背景と目的)Milk fat globule-epidermal growth factor 8(MFG-E8)はマクロファージなどから分泌され,アポトーシス細胞の貪食を促進することによって組織のホメオスターシスを維持している.我々は,これらの機能に加えてMFG-E8が腸管の炎症を改善する働きがあることを過去に報告した.しかし,MFG-E8の血管新生における役割については未だ不明な点が多い.今回の研究では,MFG-E8ノックアウトマウス(KO)を用いて,腸炎再生期における血管新生因子の発現を検討し,その意義について考察した.(方法)野生型マウス(WT)ならびにMFG-E8 KOマウスにDSS腸炎モデルを作成し,重症度の評価をDSS投与後50日まで経時的に観察を行った.さらに,WTマウスならびにKOマウスの腸炎回復期における血管新生関連遺伝子の発現をPCRアレイで検討した.その後,有意な血管新生因子について,腸炎回復期を含めた経時的な変化を評価した.(結果)KOマウスはWTマウスに比べ腸炎が重症化し,粘膜修復も遷延する傾向が認められた.PCRアレイの結果,WTマウスとKOマウスにおける血管新生因子の発現パターンが異なっていた.腸炎回復期のKOマウスでは,血管新生促進因子であるVEGF-A,アンジオポエチン-2,Tie-2受容体の発現が低下していた.(考察)MFG-E8は腸管炎症回復期に様々な血管新生因子の発現を制御していることが判明した.最近,炎症性腸疾患(IBD)の粘腸管粘膜では,高発現する血管新生因子がむしろ炎症の持続や粘膜再生に負に働くとの報告も散見される.IBDの粘膜局所では,MFG-E8の発現が亢進していることから,IBD粘膜におけるMFG-E8を介した血管新生の意義については,さらなる検討が必要と思われる. |
索引用語 |