セッション情報 ポスター

大腸 基礎

タイトル P-032:

マウスTNBS惹起性腸炎における新規CO放出剤の炎症抑制効果に関する検討

演者 福田 亘(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学)
共同演者 内藤 裕二(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 高木 智久(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 堅田 和弘(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 水島 かつら(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 岡山 哲也(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 吉田 直久(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 鎌田 和浩(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 内山 和彦(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 石川 剛(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 半田 修(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 小西 英幸(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 八木 信明(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 古倉 聡(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学), 市川 寛(同志社大学生命医科学部医生命システム学科), 吉川 敏一(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学)
抄録 【目的】内因性に生成される一酸化炭素(CO)はガス状メディエーターとして作用し,強力な抗炎症作用を有することが明らかとなっている.外因性にCOを供給する薬剤としてCO-releasing molecule(CORM)が開発され,様々な動物モデルにおいて抗炎症効果が報告されている.今回,新規水溶性CO放出剤であるCORM-3を用いて,マウスTNBS惹起性腸炎における炎症抑制効果について検討した.【方法】C57BL/6マウスを用いてTNBS腸炎を作成した.CORM-3治療群では,腸炎作成後1日2回CORM-3を腹腔内投与した.TNBS腸炎作成3日後に大腸を摘出し,潰瘍面積,病理組織像,大腸粘膜内ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性,各種サイトカイン発現について評価した.また,CORM-3投与後のCO血中濃度を経時的に測定することにより毒性有無の検討を行った.さらに,脾臓よりCD4+Tリンパ球を採取し,抗CD3/CD28抗体刺激に対する各種サイトカイン産生,Th1/Th17細胞分化についても検討を行い,CORM-3による影響を評価した.【結果】CORM-3投与では,CO血中濃度の上昇を認めず,本薬剤の安全性が明らかとなった.TNBS惹起性腸炎群では,大腸に著明な潰瘍形成をきたし,大腸粘膜内のMPO活性,サイトカイン産生(TNF-α,IFN-γ,IL-17A)が亢進していた.CORM-3の投与によりTNBS腸炎の発症・進展が抑制され,MPO活性・サイトカイン産生が抑制されていた.また,CD4+Tリンパ球から抗CD3/CD28抗体刺激により産生されるTNF-αやIFN-γは,CORM3により有意に抑制され,ナイーブT細胞を用いた検討では,CORM-3によりTh1/Th17分化誘導が抑制された.【結論】CORM-3によりTNBS惹起性腸炎は有意に抑制され,その機序として,COによるリンパ球からのサイトカン産生が関与していることが示唆された.
索引用語