セッション情報 ポスター

食道 他

タイトル P-039:

肺癌食道転移の2例

演者 前田 和範(鳥取県立中央病院内科)
共同演者 久留 弘美(鳥取県立中央病院内科), 細田 康平(鳥取県立中央病院内科), 岡本 勝(鳥取県立中央病院内科), 柳谷 淳志(鳥取県立中央病院内科), 田中 究(鳥取県立中央病院内科), 清水 辰宣(鳥取県立中央病院内科)
抄録 【症例1】50歳代男性.2011年4月多発性筋炎,間質性肺炎と診断され,ステロイドにて寛解.2012年2月増悪にてステロイドパルスや免疫抑制剤併用.4月に嚥下困難にて当科紹介.上部消化管内視鏡検査にて,胸部上部食道に粘膜面変化に乏しい全周性狭窄を認めた.NBIやルゴール散布でも粘膜面に優位な所見はなく,生検でも悪性所見は認めなかった.C Tでは,右上葉のスリガラス陰影を認め,気管前,気管傍リンパ節腫大と,胸部上部食道に全周性の壁肥厚を認めた.以前の気管支鏡検査で悪性腫瘍は否定されており,ステロイドによりリンパ節縮小した治療歴もあり,多発性筋炎に伴う良性狭窄が示唆された.しかしながら,バルーン拡張後の超音波内視鏡検査では粘膜面の著明な肥厚を認めるも筋層は正常であり,多発性筋炎に合併する筋線維の炎症細胞浸潤や萎縮などとは異なる所見であった.確定診断のため,気管支鏡と超音波内視鏡下穿刺施行.右気管支上葉入口部に白苔を伴う小結節を認め擦過細胞診を行い,気管前リンパ節と肥厚した食道壁より穿刺細胞診を施行.いずれも腺癌の所見であり,肺癌,食道転移と診断した.経口摂取困難に対しては胃瘻造設を行い,化学療法導入.3か月後には縮小効果を認め,経口摂取も可能となり化学療法継続中.【症例2】60歳代男性.2011年7月肺腺癌と診断され,化学療法開始.2012年6月2nd lineも無効となり入院.食思不振にて上部消化管内視鏡検査施行.胸部上部食道から噴門部まで連続した粘膜面変化の乏しい全周性狭窄を認め,生検にて腺癌の結果にいたり,肺癌食道転移と診断した.3rd line導入したが効果が乏しく8月に永眠された.【結語】食道転移は,粘膜下の腫瘍増殖により正常粘膜に覆われた粘膜下腫瘍様の狭窄像を呈し,生検診断でも診断困難な場合が多い.まれな疾患であり診断に苦慮することもあるが,一度経験すると診断は困難でなく,今後化学療法の進歩により増加する疾患と思われ,その臨床的特徴を知っておくことが重要であると思われた.
索引用語