セッション情報 ポスター

膵臓 他

タイトル P-042:

改良型小腸内視鏡を用いた膵疾患における小腸病態評価の試み

演者 林 大樹朗(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学)
共同演者 廣岡 芳樹(名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部), 伊藤 彰浩(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 大野 栄三郎(名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部), 伊藤 裕也(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 中村 陽介(名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部), 平松 武(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 杉本 啓之(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 鷲見 肇(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部), 中村 正直(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学)
抄録 バルーン内視鏡により小腸診断学は飛躍的進歩を遂げた.我々はより簡便な小腸へのアプローチをめざし,改良型小腸内視鏡(オリンパス社製試作内視鏡SIF-Y0002)による近位小腸の観察を試みた.【目的】SIF-Y0002を用い,膵疾患例における小腸形態変化の検討を行い,その安全性と有用性を評価した.【方法】2011年1月から2012年8月までにSIF-Y0002による小腸内視鏡検査を施行した51例(慢性膵炎21例,膵癌19例,非膵疾患11例)を対象とした.SIF-Y0002は受動湾曲部と高伝達挿入部の導入により操作性を向上させ,また光学系の改良により粘膜近接像の観察を可能にした.オーバーチューブ非使用下にSIF-Y0002を経口的に挿入し,内視鏡観察後に近位空腸と十二指腸水平脚より生検を施行した.以下の4項目を検討した.1)安全性,2)トライツ靱帯への到達率と到達時間,3)内視鏡所見(絨毛萎縮所見)と病理組織所見(絨毛高の測定),4)免疫組織化学染色によるGLP-1・GIP陽性細胞分布.なお,本研究は当院生命倫理委員会承認の研究計画に基づき施行した.【結果】1)膵炎,穿孔などの重篤な偶発症は認めなかった.2)全例でトライツ靱帯へ到達し,その平均到達時間は2.4±1.3分であった.3)慢性膵炎例において21例中19例に絨毛萎縮を認めた.慢性膵炎例の絨毛高は333±71μmで,膵癌例(414±59μm),非膵疾患例(445±64μm)に比し,有意に低値であった(p=0.023,p=0.031).4)空腸には2.8±1.3/HPF個のGLP-1陽性細胞を認めたのに対し,十二指腸では1.1±0.6/HPF個で,空腸により多く分布していた(p<0.0001).空腸と十二指腸でGIP陽性細胞数に差を認めなかった.【結論】SIF-Y0002は小腸へのアプローチを容易にし,膵疾患における小腸形態変化のみならず,免疫組織化学染色によりその機能変化をも検討しうる.
索引用語