セッション情報 |
ポスター
大腸 IBD 2
|
タイトル |
P-053:潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスによるaccelerated step-up therapyの検討
|
演者 |
井上 拓也(大阪医科大学第二内科) |
共同演者 |
村野 実之(むらのクリニック), 樋口 和秀(大阪医科大学第二内科) |
抄録 |
【目的】カルシニューリン阻害剤であるタクロリムスは難治性潰瘍性大腸炎の寛解導入を可能にする優れた免疫調整剤として,その有効性が実証されている.このためステロイド抵抗性を示す重症潰瘍性大腸炎に対してはタクロリムスを使用する機会が多くなってきている.一方,潰瘍性大腸炎はステロイドに依存する例も多く,減量・中止により再燃する例も少なくない.そのため,再燃例に対しては従来のstep-up療法を踏襲しながら,個々の症例の疾患活動性にあわせた治療法を選択するaccelerated step-up療法の有用性も近年提唱されつつある.そこで今回我々は,ステロイド非併用タクロリムスの潰瘍性大腸炎に対する効果を検討した.【方法】2009年11月から2012年3月までの間に大阪医科大学第二内科においてステロイド非併用タクロリムスにて加療した10症例(11回)を対象とした.タクロリムスは全例絶食のうえ,0.1mg/kg/dayにて内服を開始とし,目標トラフ濃度を10-15ng/mlとした.寛解維持目的としては5-10ng/mlと目標としてタクロリムスの投与を行った.Lichitiger score,寛解導入率と長期経過,および副作用について検討した.【結果】対象はLichitiger scoreが10-21の全例全大腸炎型で,5例がステロイドnaïve,残りがステロイド依存例であった.タクロリムス導入後4週後,12週後の寛解導入率がそれぞれ72.7%,81.8%であった.平均10.4カ月の観察期間の間,8例で寛解を維持していた.1例において,タクロリムスにより寛解導入を行った後,待機的に外科治療がされていた.【結論】重症例や内科的治療に抵抗する潰瘍性大腸炎の治療にあたっては,経過によっては外科的加療を必要とする場合があることも考慮し,ステロイド非併用のaccelerated step-up療法が有用な場合もある可能性が示唆された. |
索引用語 |
|