セッション情報 ポスター

大腸 IBD 2

タイトル P-056:

潰瘍性大腸炎における早期のタクロリムス目標血中トラフ濃度到達による症状改善効果

演者 久永 康宏(大垣市民病院消化器内科)
共同演者 熊田 卓(大垣市民病院消化器内科), 桐山 勢生(大垣市民病院消化器内科), 谷川 誠(大垣市民病院消化器内科), 豊田 秀徳(大垣市民病院消化器内科), 金森 明(大垣市民病院消化器内科), 北畠 秀介(大垣市民病院消化器内科), 多田 俊史(大垣市民病院消化器内科), 新家 卓郎(大垣市民病院消化器内科), 長谷川 綾平(大垣市民病院消化器内科), 伊藤 隆徳(大垣市民病院消化器内科), 安藤 祐資(大垣市民病院消化器内科), 山本 健太(大垣市民病院消化器内科), 田中 達也(大垣市民病院消化器内科), 曽根 康博(大垣市民病院放射線科)
抄録 【目的】難治性潰瘍性大腸炎(UC)においてタクロリムスはトラフ値依存性に有効性を認めるため,十分な効果を得るには至適濃度に達することが必要である.当院ではタクロリムス投与開始後早期の至適トラフ値達成するための工夫を行っている.そこで今回は難治性UCに対する早期のタクロリムス目標血中トラフ濃度到達による症状改善効果を検討して報告する.【方法】対象は当科で決めたスケジュールに従いタクロリムスが投与されたUC(中等症~重症)6症例である.タクロリムス初期投与量は0.06mg/kg/回と設定し,投与翌日から目標トラフ値(10~15ng/ml)に達するまで連日採血を行い,結果がわかり次第ただちに用量調節を行うスケジュールとした.これらの症例の症状の改善度(DAIスコア)について検討した.【結果】年齢は47歳(27歳~55歳).病脳期間は0~13年.初発1例,再発5例.病変範囲では全大腸炎型2例,左側大腸炎型4例.重症度は中等症4例,重症2例.ステロイド抵抗・依存ありが5例,なしが1例.併用治療は,PSLは5例,5ASAは以前肝障害が出た症例を除く5例,AZAは2例,G-CAPは1例であった.トラフ濃度は投与開始翌日で5.8ng/mlに上昇し,5日目には11.4ng/mlと目標トラフ濃度に達していた.DAIスコア(排便回数)では3日目には3から1以上低下し,1週間後では1付近まで改善した.DAIスコア(血便)では3日目には1.5から1低下し,1週間後には0近くまで改善した.DAIスコア(医師の全般的評価の結果)では3日目には2から0.7低下し,1週間後には0.8近くまで改善した.いずれのDAIスコアもタクロリムス第II相試験と比較して改善が良かった.【結論】タクロリムスを早期に目標トラフ濃度到達させることは,UCを早期に症状改善させ有用である.
索引用語