抄録 |
【目的】当院は通院IBD診療を主目的として開業した7年目の無床クリニックである.現在,潰瘍性大腸炎(UC)252名,クローン病(CD)45名の通院治療を行なっている.CDでのIFXは21名,CDでのADAは5名(うちIFXからの変更は4名),UCでのIFXは5名いる.その詳細と通院IBD治療クリニックでのUC生物学的製剤治療の将来を考えたい.【結果】《症例1》24歳女性,H18年19歳左側結腸型で初発して前医5回入院歴ありパルス療法も経験していた.転院時PSL内服総量24gであった.内視鏡確認にてPSLを中止(途中低ACTHで鬱発症),H23年3月再燃にてGCAP予定するもルート確保困難(160cm 76kg BMI 29)で医大入院IFX 0wにて寛解退院,以後クリニックにて維持治療を行い内視鏡でも安定している.《症例2》62歳男性,H12年52歳大腸型CDとして発症,PSL・ED治療で退院.後PSL・ED中止にて再燃し,UCであることが判明し入院GCAP治療で寛解導入.その後容易に再燃してLCAP+AZA治療中に血小板減少でIFXに変更し寛解導入維持治療を行い安定している.《症例3》39歳女性,H14年31歳左側型UCとして発症,H22年8月突如再燃してGCAP治療も重篤化して入院,PSL60mg開始,内視鏡で打ち抜き潰瘍あり,CMV検出されなかったがGCV治療後PSL減量するも寛解に至らなかったためIFX0wで寛解導入されて退院PSL中止,IFX維持治療されている.《症例4+5》56歳男性,50歳男性,共に他院でCAP治療経ずにIFX導入されて転医してきた.当院にてinfusion reaction(皮疹)を経験している.【考察】当院でのUC IFXはまだ少ない.CAPルート確保困難,CAP治療不応の症例には良い適応であった.IFX無効例や期間短縮・増量症例は未経験である.IBDでの生物学的製剤使用はIBD治療に習熟した施設に限定されるべきである. |