セッション情報 ポスター

大腸 IBD 3

タイトル P-062:

経過中に心膜炎・心筋炎を来たした潰瘍性大腸炎の2症例

演者 末包 剛久(大阪市立総合医療センター消化器内科)
共同演者 上野 綾子(大阪市立総合医療センター消化器内科), 若原 祐平(大阪市立総合医療センター消化器内科), 丸山 紘嗣(大阪市立総合医療センター消化器内科), 平松 慎介(大阪市立総合医療センター消化器内科), 山崎 智朗(大阪市立総合医療センター消化器内科), 平良 高一(大阪市立総合医療センター消化器内科), 佐野 弘治(大阪市立総合医療センター消化器内科), 佐々木 英二(大阪市立総合医療センター消化器内科), 根引 浩子(大阪市立総合医療センター消化器内科), 佐藤 博之(大阪市立総合医療センター消化器内科), 中井 隆志(大阪市立総合医療センター肝臓内科), 川崎 靖子(大阪市立総合医療センター肝臓内科), 木岡 清英(大阪市立総合医療センター肝臓内科)
抄録 心膜炎・心筋炎は潰瘍性大腸炎(UC)の腸管外合併症としては稀であるが,重症化すると生命の危険性が強くなるため臨床上十分注意を要する疾患である.今回,メサラジン投与により心膜炎・心筋炎をきたしたと考えられる2症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.【症例1】10歳台後半男性.主訴は胸痛,頚部痛.UCを発症後1年ほどは無投薬で経過観察とされていた.症状増悪に伴いメサラジン2400 mg/日が投与されたが,症状の改善に乏しく2週後よりプレドニゾロン20 mg/日が追加された.さらに1週後の再診時に上記訴えを認めたため循環器内科へ紹介したが有意な所見に乏しく経過観察となった.しかし,夜になって症状の悪化と発熱を認めたため当科緊急入院となった.入院後の心電図では広範囲にST上昇がみられ,心膜摩擦音も聴取されることから心膜炎と診断された.薬剤性心膜炎を疑いメサラジンを中止し安静加療としたところ数日で症状は改善した.ウイルス抗体価の有意な上昇は認めず,メサラジンに対するDLSTは陽性であった.【症例2】50歳台男性.主訴は胸部圧迫感,頚部痛,発熱.UC疑いで経過観察中であったが,下痢・血便の出現に伴いメサラジン3600mg/日が投与された.10日後には39度台の発熱がみられた.その翌日に仕事で有機溶剤を吸入後に胸部から頚部症状が出現したため当院を受診した.心筋逸脱酵素の上昇と広範囲のST上昇を認めたが,心エコーでは有意な壁運動異常を認めず,経過から心膜炎・心筋炎を疑い循環器内科へ入院となった.入院2日目には胸部症状は改善した.冠動脈CT検査では虚血性心疾患を疑う異常は認めなかった.入院時よりメサラジンの内服を中止していたが,退院後に再開したところ翌日に再び38度の発熱と胸痛,頭痛が認められ同薬剤の関与が疑われた.DLSTは陽性であった.
索引用語