セッション情報 ポスター

大腸 IBD 4

タイトル P-063:

直腸炎型潰瘍性大腸炎におけるアサコールの有効性の検討

演者 松井 啓(虎の門病院消化器内科)
共同演者 小川 修(虎の門病院消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院消化器内科)
抄録 【目的】pH依存放出型メサラジンであるアサコールは,その特徴からUCの直腸炎型において,コンプライアンスの悪い局所製剤の使用の減少が期待されている.今回,直腸炎型のUCにおけるアサコールの有効性を検討した.【方法】2012年5月までに潰瘍性大腸炎と診断され定期的に当科に通院または入院している患者374例のうち,直腸炎型113例を対象とした.寛解期か活動期でも中等症であり,手術の既往や重症例はなかった.また,基準薬となる5-アミノサリチル酸(以下5-ASA)製剤毎にアサコール群26例,ペンタサ群27例,サラゾピリン群34例にわけてretrospectiveに検討した.【結果】アサコール群の平均年齢は48.7歳(29-83歳),平均罹病期間は6.34年(0-27年),臨床的病期分類は寛解期17例・活動期9例であった.ペンタサ群との比較でアサコール群には活動期が多かった(p=0.04).寛解維持に局所製剤を併用している症例はアサコール群:ペンタサ群で4例:2例で両群間に有意差は無かった(p=0.12).寛解期に局所製剤を中止し得た症例は継続している症例に対しアサコール群で4/4例,ペンタサ群で3/2例であった(p=0.72).平均寛解維持期間はアサコール群:ペンタサ群で6.6カ月:33.1カ月で有意にペンタサ群が長かった(p=0.0007).以前他の5-ASA製剤から変更しているスイッチ症例はアサコール群:ペンタサ群で12/26:8/27であり有意差は無かったがアサコール群でスイッチした傾向が多かった.【結論】アサコールを使用しても局所療法の併用は減少していなかった.その背景としてアサコール群は多剤では寛解できなかった比較的難治な活動例からのスイッチ症例が多い傾向にありその結果寛解維持期間の延長や局所製剤の併用の減少に至っていないと考えられた.今後,アサコールナイーブ群の長期間の観察が必要と考えられた.
索引用語