セッション情報 ポスター

大腸 IBD 4

タイトル P-064:

5-ASA製剤不耐潰瘍性大腸炎症例の検討

演者 柳澤 秀之(帯広厚生病院消化器科)
共同演者 松本 隆祐(帯広厚生病院消化器科), 吉田 晃(帯広厚生病院消化器科), 竹田 剛(帯広厚生病院消化器科), 新 智文(帯広厚生病院消化器科), 菊池 英明(帯広厚生病院消化器科)
抄録 【緒言】5-ASA製剤は,潰瘍性大腸炎治療の基本薬として使用されている.副作用として,下痢などの症状が出現する不耐の報告も認められる.今回,当院治療中の潰瘍性大腸炎患者で,5-ASA不耐症の3症例を経験したので報告する.【症例1】40歳代女性.2009年発症.排便数7回,血便.内視鏡検査(CS)で粘膜粗造を認め全結腸性潰瘍性大腸炎と診断した.当初,徐放性メサラジン製剤を投与し症状が改善,その後下痢症状が悪化し,中止すると症状が改善,サラゾスルファピリジン,注腸メサラジン製剤,PH依存性メサラジン製剤を使用するも,症状悪化が認められ,ステロイド注腸剤で緩解した.以後,内視鏡的,症状的にも緩解状態を維持している.【症例2】30歳代男性.2011年8月発症.1日10回水様便で下血はなかった.同年8月CSで粘膜粗造,びらんを全結腸に認め潰瘍性大腸炎と診断した.徐放性メサラジン製剤で1日5回軟便となり,PH依存性メサラジン製剤へ変更した.1ヶ月後に水様便,ステロイド剤を導入して緩解した.再度,徐放性メサラジン製剤投与したところ,下痢症状が悪化,中止とし,アザチオプリンを導入し緩解した.【症例3】30歳代男性.既往歴:サルコイドーシス.2012年5月CSで粘膜粗造,びらん,全結腸性潰瘍性大腸炎と診断し,PH依存性メサラジン製剤で,水様便が軟便となったが,1ヶ月後,腹痛,膵逸脱酵素上昇,水様便出現,8月CS再検で,粘膜所見の改善を確認し,5-ASA製剤による副作用と判断し,同剤し中止,症状,血液データとも改善した.【考察】5-ASA製剤不耐は以前より報告が散見される.当院で潰瘍性大腸炎3年間に5-ASA製剤を投与された186例中,3例(1.61%)に認められた.5-ASA製剤の変更により,症状の改善を認める報告もあるが,今回,当院症例2例は,何れの製剤でも症状の悪化が認められた.粘膜所見は悪化が認められなかった.【結語】当院潰瘍性大腸炎症例における,5-ASA製剤不耐潰瘍性大腸炎症例を検討した.再燃時の治療に検討を要すると考えられた.
索引用語