セッション情報 ポスター

大腸 IBD 4

タイトル P-067:

炎症性腸疾患患者における震災ストレスと生活習慣の影響

演者 宮澤 輝子(東北大学病院消化器内科)
共同演者 志賀 永嗣(東北大学病院消化器内科), 高橋 成一(東北大学病院消化器内科), 川上 瑶子(東北大学病院消化器内科), 只野 敏浩(東北大学病院消化器内科), 奈良 志博(東北大学病院消化器内科), 平本 圭一郎(東北大学病院消化器内科), 松下 勝則(東北大学病院消化器内科), 下平 陽介(東北大学病院消化器内科), 長澤 仁嗣(東北大学病院消化器内科), 諸井 林太郎(東北大学病院消化器内科), 遠藤 克哉(東北大学病院消化器内科), 木内 喜孝(東北大学保健管理センター), 下瀬川 徹(東北大学病院消化器内科)
抄録 背景・目的:近年,生活習慣に起因する疾患が増加している.年々増加傾向を示している炎症性腸疾患(IBD)は原因が明らかではないものの,発症や再燃に関わる因子として,食生活の変化・喫煙・ストレスなどの生活習慣が挙げられている.甚大な被害をもたらした2011年3月11日の東日本大震災により,IBD患者にも相当なストレスがかかったことは想像に難くなく,日常生活にも大きな変化をもたらした.本研究では,東日本大震災の前後におけるIBD患者の活動度を解析し,ストレスや生活習慣の変化が疾患活動性に影響するか否かを検討した.方法:宮城県と岩手県の基幹13病院において,潰瘍性大腸炎(UC)546例とクローン病(CD)357例にアンケート調査を行った.臨床背景(性別,年齢など),ストレス負加を代替するものとして被災状況(自宅の被害状況,親しい方の死別など),生活習慣の変化(食生活の変化,喫煙習慣など)を調査した.Mayo scoreが2以上のUCまたはHarvey-Bradshaw indexが6以上のCDを活動期とした.震災前2か月から震災後2か月にかけての再燃率と寛解率を評価し,活動性の変化に影響を与える因子を同定した.結果:UCでは震災後に活動度は有意に上昇し,86例が再燃・22例が寛解となったが(再燃率15.8%,寛解率4.0%),再燃率は1年前の同期間より有意に上昇した.CDでは震災後に活動度は変化せず,25例が再燃・15例が寛解となったが(再燃率7.0%,寛解率4.5%),再燃率・寛解率は1年前と差を認めなかった.多変量解析では,UC・食生活の変化・経済不安が再燃に対する有意な因子として抽出された.また,喫煙を中止したUC9例中,7例が再燃していた.結語:震災に伴うストレスは,特にUC患者において再燃に関わっていた.食生活や喫煙習慣の変化も再燃に影響しており,IBDの外来診療で留意すべき事項と考えられた.
索引用語