セッション情報 ポスター

肝 PBC

タイトル P-069:

当院の原発性胆汁性肝硬変(PBC)症例の臨床検討

演者 田中 寛人(和歌山県立医科大学付属病院紀北分院内科DELIMITER泉南西出病院内科)
共同演者 宮野 元成(泉南西出病院内科)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)は,比較的予後良好な自己免疫性肝疾患である.一般市中病院でのPBC症例の臨床的実態を明らかにする目的で自験例について検討を行った.【対象】2009年4月から2012年9月までに診断,治療を行ったPBC15例を対象とした.全例に肝生検が施行された.【結果】PBC例の平均年齢60.6歳で,男性1例女性14例であった.ミトコンドリア抗体は,80%(12/15)に陽性でミトコンドリア抗体陰性であった3例はいずれもM2抗体陽性であった.PBC例の発見動機であるが,検診は5例,紹介が8例,吐血救急来院が2例であった.検診では,胆道系酵素の異常を指摘されているもののPBCを疑わず,診断にいたるまでに5年以上の経過が必要であった例が3例認められた.ウルソは全例に投与され,異常値の程度に応じて900mgが4例,600mg9例,300mgが2例で900mg投与の3例でベザフィブラート400mgの追加が行われていた.ALPは,9例(52.9%)で正常化し,γ-GTPは,5例(29.4%)で正常化した.ALP,γ-GTPの両方が正常化したのは3例(20%)であった.組織では,ステージIが11例,ステージIIが3例,ステージIIIが1例と組織学的にはそれほど進行していなかった.【考察】診断に至るまでに長期間を要した症例もあり,この疾患の一般医への啓蒙の必要性を感じた.胆道系酵素の異常を認識した場合にミトコンドリア抗体のみでなくM2抗体の検索も必要であると考えられる.ウルソによる治療効果は確立していると考えられるが,効果不十分と考える場合は,べザフィブラートの併用も必要であると思われた.また,組織学的にはステージIの例が大多数であり,早期に診断がついていると考えられる.【結語】一般病院において概ねPBCの診断,治療は問題ないと考えるが,検診等でも異常が指摘されているにも関わらず長期間診断のつかない例もあり,さらにこの疾患の啓蒙に努めるべきと考える.
索引用語