セッション情報 ポスター

肝 PBC

タイトル P-071:

門脈圧亢進症状を呈した自己免疫性肝炎(AIH)-原発性胆汁性肝硬変(PBC)overlap症候群(OS)と,当院でのPBC症例の検討

演者 菊池 真大(東海大学医学部付属東京病院消化器肝臓センター)
共同演者 西崎 泰弘(東海大学医学部付属東京病院健診センター), 浜田 郁子(東海大学医学部付属東京病院消化器肝臓センター), 鶴谷 康太(東海大学医学部付属東京病院消化器肝臓センター), 東 徹(東海大学医学部付属東京病院消化器肝臓センター), 塩澤 宏和(東海大学医学部付属東京病院消化器肝臓センター), 青木 純(東海大学医学部付属東京病院消化器肝臓センター), 松嶋 成志(東海大学医学部付属東京病院消化器肝臓センター)
抄録 症例:47歳,女性.2012年1月より労作時倦怠感を認め,2月他院を受診.採血上,汎血球減少がみられ,上部消化管内視鏡と画像検査で食道静脈瘤と巨大脾腫を認めた.特発性門脈圧亢進症疑いとして外来通院していたが,6月下旬より労作時倦怠感が増悪し,29日同院を受診.Hgb 3.8g/dlと高度貧血を認めた為,輸血を行った.食道静脈瘤治療目的に7月4日,当院を紹介受診し入院となった.入院時,Hgb 5.6g/dl,WBC 1830/μl,Plt 7.2万/μlと汎血球減少を認めたが,トランスアミナーゼは正常だった.免疫化学でIgG 2387mg/dl,IgM 674mg/dl,抗核抗体80倍,抗平滑筋抗体40倍,抗ミトコンドリアM2抗体179と高値を認めた.食道静脈瘤に対して内視鏡的食道静脈瘤硬化療法を,脾腫に対しては部分的脾動脈塞栓術を行った.肝生検検査で,慢性非化膿性破壊性胆管炎の所見がみられ,PBC(中沼分類stage3,CA3 HA2)と診断した.また,IgG免疫染色をした結果,IgM免疫染色と比べて門脈域の炎症細胞に強陽性所見がみられた.AIH国際診断基準(簡易版)よりdefinite AIHと判定し,AIH-PBC OSと診断した.ウルソ内服にて外来加療とした.考察:1987年から2012年まで当院で治療したPBC 27例と比較検討した.ウルソ内服で軽快する無症候性PBCが多く,本例は初診時より門脈圧亢進症状を呈した稀なケースと思われた.27例中OSが7例みられ,うち4例は肝機能上昇時にPSLを加えることで病勢の進行を抑えられ良好な経過を辿っていた.結論:PBC症例では,IgG高値や抗核抗体陽性がみられた場合はOSを疑い,肝生検でIgG,IgM免疫染色を加えることで,診断の手助けになると考えられた.なぜなら,OSには,ウルソ内服治療にPSLを上乗せすることで,予後の改善を期待できる症例が存在する為,PBC症例からOS症例の抽出が重要であると考えられた.
索引用語