セッション情報 ポスター

肝 PBC

タイトル P-074:

原発性胆汁性肝硬変・非アルコール性脂肪肝炎合併例に関する臨床病理学的検討

演者 吉岡 容子(東京女子医科大学消化器内科)
共同演者 谷合 麻紀子(東京女子医科大学消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医科大学消化器内科), 千嶋 さやか(東京女子医科大学消化器内科), 児玉 和久(東京女子医科大学消化器内科), 戸張 真紀(東京女子医科大学消化器内科), 松下 典子(東京女子医科大学消化器内科), 小木曽 智美(東京女子医科大学消化器内科), 鳥居 信之(東京女子医科大学消化器内科), 徳重 克年(東京女子医科大学消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医科大学消化器内科)
抄録 【目的】肥満や生活習慣病の急増に伴い非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が増加し,NASHによる他肝疾患の病態修飾の実態が注目されている.今回,原発性胆汁性肝硬変(PBC)とNASH合併例(PBC・NASH)の病態を明らかにする事を目的とした.【対象・方法】PBC・NASH自験例を臨床病理学的に検討した.PBC・NASHの定義は,我が国のPBC診断基準を満たし,組織学的にsteatohepatitisを認めPBC以外の他肝疾患が否定される症例とした.【成績】PBC466例,NASH575例中,PBC・NASHは14例[男4例,年齢48,67,70,78歳,観察期間5,14,1,23年,女10例,中央値61(48-64)歳,3(1-6)年]であった.70歳例を除く男3例は5,10,22年前にPBCと診断され経過中に15,8,14kg体重増加した後の肝組織でNASH合併と診断,女は全例PBCとNASHが同時診断された.肥満(BMI≧25)合併率は男50%/女50%,糖尿病50%/40%,高血圧75%/40%,脂質異常症50%/40%,血液検査(中央値);T-bil 0.6/0.8mg/dl,Alb 4.1/4.3mg/dl,AST 39/41U/l,ALT 47/63U/l,ALP 488/414U/l,γGTP 165/123U/l,T-chol 201/219mg/dl,TG 152/132mg/dl,HbA1c 5.9/5.1%,血小板24/20×10000ul,AMAかM2陽性100%/70%であった.肝表面像は7例(うち女6例)で確認され,診断は平滑肝57%,斑紋肝43%,特徴的所見の出現率は黄色調86%,赤褐色調71%,赤色パッチ57%,なだらかな起伏29%,病理所見は,steatohepatitis F1男25%/女50%,F2 75%/30%,F3 0%/10%,F4 0%/10%,PBC stage1-2 75%/90%,stage3-4 25%/10%で,女2例はPBCの組織学的特徴は無く肝表面に赤色パッチを認めた.治療は全例でUDCAが投与され,予後は肥満合併例のみ7例中3例で経過中肝病態が増悪した(線維化進行男2例,女1例,78歳男に肝細胞癌合併).【結論】PBC・NASHの病態に性差を認めた.病態診断に肝表面観察が有用であった.治療としてUDCA投与と共に,肥満例では減量の重要性が示唆された.
索引用語