セッション情報 ポスター

肝 AIH

タイトル P-075:

急性肝炎様発症した高齢者重症型自己免疫性肝炎の二例

演者 大城 周(駿河台日本大学病院内科)
共同演者 渡邉 幸信(駿河台日本大学病院内科), 中村 真也(駿河台日本大学病院内科), 中川 太一(駿河台日本大学病院内科), 三浦 隆生(駿河台日本大学病院内科), 山本 敏樹(駿河台日本大学病院内科), 小川 眞広(駿河台日本大学病院内科), 田中 直英(駿河台日本大学病院内科), 森山 光彦(駿河台日本大学病院内科)
抄録  近年,急性肝炎様発症の自己免疫性肝炎(AIH)が注目されている.また,AIHの高齢者での発症も増加してきている.我々は,急性肝炎様に発症した,高齢者の重症型AIHの二例を経験したため報告する.症例1:69歳,女性.特に症状なく近医で行った健康診断で,AST 1281U/l,ALT 1861U/lと肝機能障害を認めた.前医での健康診断の19日後に当院紹介受診,AST 336U/l,ALT 615U/L,T-Bil 2.70mg/dlであり,プロトロンビン時間(PT)は58%であった.当院初診1週間後に入院,AST 162U/l,ALT 310U/l,T-Bil 2.29mg/dl,PT 67%と肝機能障害は軽快していた.肝炎ウイルスマーカーは全て陰性.抗核抗体は40倍陽性で,IgG1303mg/dlと正常範囲内であった.腹部CTでは表面凹凸不整で,肝萎縮や腹水はみられなかった.エコー下肝生検を行い,組織学上interface hepatitisの所見で,portal-portal bridging fibrosisを伴っていた.このため,慢性経過からの急性増悪の自己免疫性肝炎と診断.プレドニゾロン(PSL)を30mg/dlより開始し,肝機能障害は軽快した.症例2:75歳,男性.当院入院2週間前より,ふらつきを自覚.入院2日前に近医を受診しAST 713U/l,ALT 995U/l,T-Bil 4.8mg/dlと肝機能障害を認めたため当院紹介され入院した.当院での血液検査でAST 806U/l,ALT 1094U/l,T-Bil 6.56mg/dl,PT 76%であった.腹部CTでは肝萎縮と肝表面に少量の腹水を認めた.IgG 2410mg/dlと高値でγ-グロブリンは2.2mg/dlであった.肝炎ウイルスマーカーは陰性であった.重症の肝機能障害であり,重症型AIHが疑われたため,入院第1病日よりPSL 60mg/dlを開始,その後肝機能障害は軽快した.その後,画像上腹水の消失がみられたため,エコー下肝生検を施行.Bridging fibrosisを伴ったinterface hepatitisの所見でAIHと矛盾せず,慢性経過からの急性増悪のAIHと診断した.高齢者の急性肝障害においても,AIHを念頭におく必要があると考えられた.
索引用語