セッション情報 ポスター

肝 AIH

タイトル P-076:

当科における高齢発症の自己免疫性肝炎の検討

演者 菅野 有紀子(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科)
共同演者 岡井 研(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科), 勝嶋 史子(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科), 阿部 和道(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科), 高橋 敦史(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科), 大平 弘正(福島県立医科大学医学部消化器・リウマチ膠原病内科)
抄録 【目的】高齢発症の自己免疫性肝炎(AIH)の臨床的特徴,治療法,合併症について65歳未満の発症例と比較検討することを目的とした.
【方法】当科および関連施設で経過観察されたAIH 135例を対象とした.65歳以降に発症した35例をA群,65歳未満で発症した100例をB群とし,A,Bの2群間で性別,発症型,診断時の肝組織像,血液検査成績,合併症などの臨床所見,治療法および副作用について比較検討した.
【結果】A群は男性3例,女性32例,潜在型21例,急性発症型12例,劇症型2例,経過不明2例,肝硬変3例であった.治療ではステロイド剤23例,免疫抑制剤併用2例,UDCA単独6例.合併症は高血圧3例,糖尿病8例(ステロイド誘発1例),食道静脈瘤1例,膠原病5例であった.一方,B群では男性6例,女性94例,潜在型50例,急性発症型48例,劇症型3例,経過不明2例,肝硬変11例で,治療はステロイド剤84例,免疫抑制剤併用20例,UDCA単独10例.合併症では高血圧2例,糖尿病12例(ステロイド誘発2例),食道静脈瘤4例,膠原病33例,肝細胞癌2例であった.A群では膠原病合併は少なく(A群:B群;14.2%:33%),高血圧(A群:B群;8.6%:2%),糖尿病(A群:B群;22%:12%)の合併が多かった.またステロイド,免疫抑制剤使用を担当医が控える傾向を認めた.発症時検査値に両群間で有意差は認めなかった.
【結語】高齢発症のAIH例では,高血圧や糖尿病などの合併症を治療前から伴っていることが多く,初期投与量や維持量に配慮が必要である.一方,65歳未満では他の自己免疫疾患の合併が多いため注意深く臨床経過を観察することが重要である.
索引用語