セッション情報 ポスター

肝 AIH

タイトル P-078:

自己免疫性肝疾患に対して柴苓湯を併用し,ステロイドホルモン剤から離脱できた2例

演者 福西 新弥(大阪医科大学第二内科)
共同演者 筋師 徹也(大阪医科大学第二内科), 大濱 日出子(大阪医科大学第二内科), 土本 雄亮(大阪医科大学第二内科), 朝井 章(大阪医科大学第二内科), 津田 泰宏(大阪医科大学第二内科), 樋口 和秀(大阪医科大学第二内科)
抄録 【目的】自己免疫性肝炎(AIH),PBC-AIH Overlap症候群(OLS)は,中年以降の女性に多い自己免疫性肝疾患である.AIH,OLSは,副腎皮質ステロイドホルモン剤(CS)を使用して治療することが多く,その内服は長期間に亘ることが多い.ただし,副作用の問題で内服をいつまで維持すべきか苦慮することも多い.我々はCSの内服に柴苓湯を併用することで,CSから離脱できた自己免疫性肝疾患の2例を経験したので報告する.【症例1】80歳代の女性.2年前に当科でAIHと診断し,プレドニン(PSL)5mgの維持量で約1年間,肝酵素は正常範囲内で安定していた.その後,AST 79IU/l,ALT 106IU/lと上昇したためPSL 20mgに増量を行ったが,異常値は遷延し,さらにUDCA 900mgを2ヶ月間併用するも改善は認めなかった.経過中,圧迫骨折を認めたためPSLを10mgに減量し,同時に柴苓湯7.5gの内服併用を開始した.開始2週間でAST 29IU/l,ALT 19IU/lと速やかに正常化し,柴苓湯の併用8週間後でPSLを中止したが,肝酵素は増悪なく経過している.【症例2】50歳代の女性.3年前に当科でOLSと診断し,UDCA 900mgとPSL 2.5mgで維持していたが,不眠の訴えが強いため,内服開始2年後にPSLを中止した.その後,不眠は改善したが,AST 55IU/l,ALT 75IU/lと上昇を認めたため,PSL 20mgに増量し同時に柴苓湯7.5gの併用を行った.開始4週間でAST 25IU/l,ALT 23IU/lと速やかに正常化し,柴苓湯の併用12週間後でPSLを中止したが,肝酵素は増悪なく経過している.【考察】柴苓湯は,内因性ステロイド分泌調整作用が報告されているが,慢性肝炎では小柴胡湯との合剤であることから,使用頻度が少なくなっている傾向にある.中年以降の女性の場合,CSの長期服用を行うと,副作用の発現頻度が増す可能性がある.我々の経験した2例において,柴苓湯は少量のCSの内服に代わる可能性があり,女性の自己免疫性肝疾患の維持療法として有用である可能性が考えらえた.
索引用語