セッション情報 ポスター

小腸 診断

タイトル P-084:

カプセル内視鏡で診断された小腸外出血例の検討

演者 岩村 伸一(高知赤十字病院内科)
共同演者 阿部 菜海(高知赤十字病院内科), 川田 愛(高知赤十字病院内科), 中山 瑞(高知赤十字病院内科), 内多 訓久(高知赤十字病院内科), 岡崎 三千代(高知赤十字病院内科)
抄録 【目的】原因不明の消化管出血(OGIB)の中で,小腸出血の診断におけるカプセル内視鏡(CE)の有用性は確立されている.しかし時に上下部消化管内視鏡検査(GF,CF)で観察可能な胃や大腸にCEで出血源を発見できることがある.今回我々は,OGIBとしてCE行い,小腸(十二指腸球部~下行部を除く)外出血と診断した症例について検討した.
【方法】2008年12月から2012年8月まで,OGIBとして当院でCE(オリンパス社製Endocapsule)施行した93例のうち小腸外出血が見られた16例を対象とした(内,1例は回腸出血も合併).平均年齢は72.8歳(37―89歳)で,男:女は9:7であった.全例,CE前にGF,CFは行われており,前処置は前夜のクエン酸マグネシウム,当日朝のmosapride内服とPEG飲用にてCE開始した.
【結果】対象症例の全小腸観察率は81%(13/16)であった.出血部位別の内訳は,食道2例(逆流性食道炎),胃8例(ポリープ,DAVE,PHG,潰瘍など),十二指腸3例(潰瘍),結腸3例(憩室など)であった.APCによる止血やPPI,HP除菌治療など,病態に即した治療により症状,貧血は改善している.
【結論】結果的にOGIB症例の17.2%で上下部消化管出血と断定できず,CEは小腸外出血源の診断にも時に有用であった.その半数は胃出血であり,通常内視鏡では送気による自然止血,前処置,検査時間の制約などにより必ずしも出血を捉えられない場合があると推定される.CEはほぼ生理的な条件下で撮像されており,通常内視鏡所見と対比しながら小腸外病変の読影にも注意を払う必要がある.
索引用語