セッション情報 ポスター

小腸 診断

タイトル P-085:

消化管原発濾胞性リンパ腫の治療前診断法の検討―カプセル内視鏡の有用性と限界―

演者 奥原 禎久(信州大学消化器内科)
共同演者 岩谷 勇吾(信州大学消化器内科), 新倉 則和(信州大学内視鏡センター), 岡村 卓磨(信州大学消化器内科), 小林 聡(信州大学消化器内科), 大工原 誠一(信州大学消化器内科), 中村 真一郎(信州大学消化器内科), 野沢 祐一(信州大学消化器内科), 福澤 慎哉(信州大学消化器内科), 山田 重徳(信州大学消化器内科), 横澤 秀一(信州大学消化器内科), 菅 智明(信州大学消化器内科)
抄録 【目的】消化管原発濾胞性リンパ腫(Gastrointestinal Follicular Lymphoma:GIFL)は,小腸に病変を認めることが多く,ダブルバルーン内視鏡(DBE)やカプセル内視鏡(CE)を組み合わせて治療前評価を施行することが多いが,治療前の検査法の標準化は未だなされていない.今回,自験例の成績を踏まえ,最適な治療前の診断法につき検討した.【方法】当科で治療前に小腸の評価が可能であったGIFL:34例(平均年齢61.1歳,男性:19例)を対象とした.治療前の小腸検査はDBE単独:11例,CEとDBE併用:23例である.DBEをGold standardとして,CEの診断能につき検討した.【成績】DBEによる十二指腸病変の有病率は34/34(100%),小腸病変(十二指腸と回腸終末部を除く)は21/34(61.8%),回腸終末部病変は15/34(44.1%)であった.CEとDBEを併用した23例では,十二指腸病変のCE病変検出率は5/23(21.7%),小腸病変のCE病変検出率は12/13(92.3%),回腸終末部病変のCE病変検出率は3/10(30.0%)であった.十二指腸や回腸終末部のCE病変検出率は,小腸のCE病変検出率より有意に低かった(p<0.01).回腸終末部では一見正常リンパ濾胞に見えても,生検を施行した29例のうち15例(51.7%)でFLと診断された.全小腸の病変部の生検では全例で組織学的gradeは1-2であり,grade3の症例は認めなかった.【結論】これまでGIFLの治療前検査としてはCEで病変を認めた場合,DBEによる生検診断を加味したうえで治療の方針が検討されることが多かった.しかし当科の検討ではCEは小腸病変に関しては検出率は高く,また小腸病変でgrade3が検出されることで治療方針が変更される症例は認めなかった.しかしながらCEは十二指腸・回腸終末部では検出率は低い結果であり,以上よりGIFLの病期診断や治療方針の決定には上下部消化管内視鏡による十二指腸と回腸終末部の生検にCEを併用することで十分である可能性が示唆された.
索引用語