セッション情報 ポスター

小腸 外科治療

タイトル P-086:

小腸穿孔14例の検討

演者 杉田 博二(八尾徳洲会総合病院消化器内科)
共同演者 山崎 雅人(八尾徳洲会総合病院消化器内科), 平川 富夫(八尾徳洲会総合病院消化器内科), 浅野 耕吉(八尾徳洲会総合病院消化器内科)
抄録 小腸穿孔14例を検討.年齢は42歳から95歳で平均68歳.男性9例女性5例.原因はクローン病が1例,悪性リンパ腫が1例,憩室2例,術後癒着2例,潰瘍1例,炎症1例,魚骨2例,異物1例,インターフェロン1例,透析患者感染が1例,原因不明1例.穿孔部位は十二指腸2例,空腸7例,回腸5例.緊急外科手術施行例が11例で保存的治療が3例.保存的治療例は十二指腸水平部憩室穿孔,胆嚢十二指腸瘻穿孔,インターフェロンによる回腸末端穿孔で死亡例なし.軽快11例で死亡は3例.死亡例は悪性リンパ腫(diffuse medium size cell,Tcell)の空腸穿孔,透析患者感染例,回腸潰瘍穿孔.悪性リンパ腫症例は82歳と高齢で術後化学療法,放射線療法は施行せず,誤嚥性肺炎で死亡.クローン病,悪性リンパ腫の術前診断は困難.憩室部位は十二指腸水平部1例,回腸末端1例.術後癒着はS状結腸癌術後1例,帝王切開後1例.帝王切開後症例は56歳女性でトライツ靭帯から60cmに腸管膜の壊死,腸管膜側に小指頭大穿孔.壊死,うっ血,血栓を疑う部分50cm切除.病理で急性の炎症,脂肪組織壊死,出血,水腫.潰瘍例は終末回腸(回盲部より20cm).魚骨症例の1例は68歳男性で空腸で穿孔.臍部腹壁直下に88×45×108mmの膿瘍形成し内部に魚骨.1例は80歳男性で小腸穿孔部位以外の小腸に2か所,上行結腸に1か所魚骨.異物症例は統合失調症の56歳女性で多発性小腸穿孔認め胃腸内に多数の硬貨,磁石,チェーン.透析患者感染例は67歳男性で空腸潰瘍穿孔を認めactiveな肉芽形成反応と好中球の集塊からなるabcessとそれをとりまく組織球増生,多核巨細胞をまじえる肉芽腫がsm,pm,ssに散在し感染症に伴う潰瘍が推定されたが乾酪壊死は認めず結核は否定的で真菌感染も陰性.インターフェロン治療中の消化管穿孔は本邦で1例の報告があるのみで発症機序の詳細は不明.小腸穿孔の原因は多彩で緊急手術を要する例が多く腫瘍や憩室,潰瘍,魚骨等を念頭におくべきと考えられた.
索引用語