セッション情報 ポスター

小腸 外科治療

タイトル P-089:

当院における小腸悪性腫瘍の経験

演者 松浦 玲(大阪厚生年金病院外科)
共同演者 弓場 健義(大阪厚生年金病院外科), 藤井 眞(大阪厚生年金病院外科), 森本 芳和(大阪厚生年金病院外科), 赤丸 祐介(大阪厚生年金病院外科), 安政 啓吾(大阪厚生年金病院外科), 河野 恵美子(大阪厚生年金病院外科), 笠島 裕明(大阪厚生年金病院外科), 河合 賢二(大阪厚生年金病院外科), 大久保 悠祐(大阪厚生年金病院外科), 谷口 嘉毅(大阪厚生年金病院外科), 岩本 和哉(大阪厚生年金病院外科), 青木 丈明(大阪厚生年金病院外科), 山崎 芳郎(大阪厚生年金病院外科)
抄録 小腸腫瘍は比較的稀な疾患であり,その頻度は全消化管腫瘍の0.1~2.9%程度とされている.臨床症状としては腹痛,嘔吐・腹部膨満などのイレウス症状,消化管出血,腸重積が挙げられるが,術前の確定診断が困難なことが多い.【対象・方法】今回われわれは当科で2003年1月から2012年9月までに経験した小腸腫瘍の5手術例について臨床病理学的に検討する.【結果】5例の内訳は原発性小腸癌が2例,小腸転移が3例であり,いずれも小腸部分切除術を施行した.小腸転移のうち腎細胞癌の転移が2例,肺癌の転移が1例であった.術前に腫瘍と診断され待機的手術となった症例は1例のみであり,貧血の精査にて小腸腫瘍が指摘された原発性小腸癌の症例であった.3例は急性腹症で発症し緊急手術を施行した.急性腹症の内訳は腎細胞癌の小腸転移による腸重積が2例,肺癌の小腸転移による穿孔が1例であった.また残りの1例はイレウスで発症,保存的加療にて症状が改善せず,イレウス管造影にて狭窄部位を認めた.準緊急的に手術を施行したところ狭窄部位に腫瘍を認め,原発性小腸癌であった.肺癌の小腸転移例は術後2ヶ月で原癌死しているが,腎細胞癌の小腸転移例はそれぞれ術後1ヶ月,2年まで生存を確認している.また原発性小腸癌の1例については現在術後1年で肺転移を認め化学療法施行中,もう1例は肝転移に対しRFAを施行後,現在術後2年6ヶ月で生存を確認している.小腸転移例はいずれも原発巣に対する治療が行われ,遠隔転移を認める進行癌の症例であった.【まとめ】小腸転移の症例に関しては術前に転移の可能性は示唆されていたが,いずれも緊急または準緊急手術が必要であり転移巣に対する術前評価が困難であった.そのため腹腔外進行癌症例の急性腹症では小腸転移を考慮に入れる必要があると考えられた.また術前診断の困難な場合の緊急手術では原発性小腸癌も念頭におく必要があると考えられた.
索引用語