セッション情報 ポスター

小腸 外科治療

タイトル P-091:

腸閉塞を発症した,鼡径ヘルニア嵌頓症例の検討

演者 野口 幸蔵(兵庫県立西宮病院外科)
共同演者 吉岡 慎一(兵庫県立西宮病院外科), 飛鳥井 慶(兵庫県立西宮病院外科), 畑 知樹(兵庫県立西宮病院外科), 瀧内 大輔(兵庫県立西宮病院外科), 濱野 梨絵(兵庫県立西宮病院外科), 箕畑 順也(兵庫県立西宮病院外科), 柏崎 正樹(兵庫県立西宮病院外科), 三木 宏文(兵庫県立西宮病院外科), 辻江 正樹(兵庫県立西宮病院外科), 小西 宗治(兵庫県立西宮病院外科), 矢野 浩司(兵庫県立西宮病院外科)
抄録 【目的】鼡径ヘルニアの嵌頓は緊急で対応すべき疾患であり,特に嵌頓した臓器が腸管であれば,絞扼性腸閉塞を発症し,腸閉塞の解除を含めた治療方針を立てる必要があり,場合によっては治療に難渋するケースも存在する.今回我々は,当院にて経験した,緊急手術を要した鼡径ヘルニア嵌頓症例に対し,原因,対応方法,予後について検討した.【対象】2008年1月から2012年6月まで当院において手術した505例のうち,緊急手術を施行した鼠径ヘルニア28症例が対象.【結果】年齢中央値74歳(範囲:4-90歳).男女比3:4.初発の嵌頓は24例でヘルニア再発による嵌頓例は4例であった.部位別では大腿ヘルニアが5例,閉鎖孔ヘルニアが6例と特殊なタイプが多かった.腸閉塞の合併はそのうちの10例(42%)であり,絞扼により腸管切除まで必要となった症例は3例(11%)であった.腸管切除症例については発症から受診までにいずれも2日以上が経過しており,発症からの経過が長い症例であった.また,腸管切除に伴う縫合不全は認めなかった.腸閉塞を合併した症例は,腸管の切除如何に関わらず在院期間は比較的長かったものの,原因としては腸管浮腫の改善を待つ期間のためであり,経口摂取を始めた後の経過は比較的良好であった.【結論】当院で経験した緊急手術を要した鼡径ヘルニアでは,特殊型が多かった.腸閉塞は発症後早期であれば,還納・ヘルニア修復のみで対応可能であるが,時間が経つと消化管の血流障害による虚血変化のため,腸管切除を余儀されなくなる.幸い検討症例では腸管切除による目立った合併症はなかったものの,縫合不全などのリスクも生じることになり,出来るだけ早期に診断,治療することが重要であると思われた.
索引用語