セッション情報 ポスター

小腸 炎症・潰瘍

タイトル P-093:

NSAIDs起因性小腸粘膜傷害におけるDPPIV選択阻害剤の治癒・予防効果

演者 藤原 薫(大阪医科大学消化器内科)
共同演者 井上 拓也(大阪医科大学消化器内科), 楢林 賢(大阪医科大学消化器内科), 坂中 大輔(大阪医科大学消化器内科), 太田 和寛(大阪医科大学消化器内科), 原田 智(大阪医科大学消化器内科), 江戸川 祥子(大阪医科大学消化器内科), 能田 貞治(大阪医科大学消化器内科), 柿本 一城(大阪医科大学消化器内科), 倉本 貴典(大阪医科大学消化器内科), 石田 久美(大阪医科大学消化器内科), 阿部 洋介(大阪医科大学消化器内科), 竹内 利寿(大阪医科大学消化器内科), 時岡 聡(大阪医科大学消化器内科), 梅垣 英次(大阪医科大学消化器内科), 樋口 和秀(大阪医科大学消化器内科)
抄録 【目的】腸管内栄養素は腸管内分泌細胞よりinsulinotropic effectを有するglucagon-like peptide 1(GLP-1)およびintestinotropic effectを有するGLP-2の分泌を促進する.GLP-1はdipeptidyl peptidase-IV(DPP-IV)によって速やかに不活化されることから,その阻害剤は2型糖尿病の治療に用いられている.しかし,内因性GLP-2と消化管への影響については不明な点が多い.今回我々は,DPPIV選択阻害剤のNSAIDs起因性小腸粘膜障害における潰瘍治癒・予防効果について検討した.【方法】消化管粘膜傷害はSDラットにインドメタシンを皮下投与し作成した.DPPIV選択阻害剤にはsitagliptinを使用した.インドメタシン(8mg/kg)を2日間連続投与し,その24時間後からsitagliptinと成分栄養剤を投与し,7日後に粘膜障害の治癒効果について検討した.次にsitagliptin 1~10mg/kgを2日間経口投与したのち,インドメタシン(10mg/kg)を単回投与し,24時間後に粘膜障害の予防効果について検討した.また,粘膜傷害におけるapoptosisおよびautophagyの誘導を検討するために,single- stranded DNA(ssDNA)抗体およびlight chain(LC)3抗体を用いて免疫染色およびWestern Blottingを施行した.【結果】Sitagliptinに成分栄養剤を併用したところ,粘膜内DPPIV活性が有意に抑制され,粘膜治癒も有意に促進されていた.また,粘膜内のGLP-2濃度は上昇する傾向が認められた.インドメタシン投与前にsitagliptinを投与したところ,3mg/kg投与群で潰瘍の発生が有意に抑制されていた.Sitagliptin投与群において,非投与群に比べ,ssDNA陽性細胞数およびLC3陽性顆粒の減少が認められ,Western BlottingにてLC3-IIの発現減少が認められた.【結論】DPP-IV選択阻害剤は小腸粘膜傷害をターゲットとした治療に有用である可能性が示唆された.
索引用語