セッション情報 ポスター

小腸 炎症・潰瘍

タイトル P-094:

小腸傷害を認めた低用量アスピリン継続投与患者における薬物投与の長期治癒効果

演者 黒河 聖(JA北海道厚生連札幌厚生病院第1消化器科(胃腸科))
共同演者 小澤 広(JA北海道厚生連札幌厚生病院第1消化器科(胃腸科)), 今村 哲理(JA北海道厚生連札幌厚生病院第1消化器科(胃腸科))
抄録 目的:カプセル内視鏡検査の発達にて,低用量アスピリン投与による小腸傷害は広く知られるようになった.しかし小腸傷害を防御できる薬剤はあまり存在しない.現在,プロスタグランディン製剤は治癒効果を認めると報告されているが,下痢などの副作用にて長期投与は難しい.今回,同等の粘膜治癒効果を認めると報告されているレバミピドを使用して,長期治癒効果を検討した.方法:この研究は札幌厚生病院の倫理委員会の承認を得て,インフォームドコンセントも得られている.4人の患者はすべて低用量アスピリンを服用し,すでにカプセル内視鏡にて小腸傷害(粘膜欠損,発赤,点状出血,びらん,潰瘍)を認めていた.少なくとも一年以上,レバミピド100mg(t.i.d)を服用した後,カプセル内視鏡による小腸傷害の評価と採血による栄養状態を検討した.結果:症例1:びらん2→1,発赤4→1,点状出血10→2,症例2:びらん2→1,発赤2→1,点状出血3→1,症例3:発赤3→0,点状出血2→2,症例4:発赤7→2,点状出血1→0,粘膜欠損1→0と全例小腸傷害は改善した.また採血結果から症例2:Hgb9.6→10.9,TP7.0→7.4,Alb3.9→4.5と症例3:Hgb8.8→10.0,TP7.2→7.4,Alb4.3→4.8は貧血,低タンパク血漿も改善した.まとめ:現在,心疾患,脳疾患予防のため低用量アスピリンは広く服用され,継続されている人も多い.私たちの研究では,全例小腸傷害は改善され,傷害の改善効果が高い症例では貧血,低タンパク血症も改善した.今までの報告では短期投与症例の改善報告のみで,長期投与の改善傾向を示したのは私たちの研究が初めてである.今後小腸傷害に対する安全で効果的な薬として使用されることを証明した.
索引用語