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小腸 他

タイトル P-098:

当院における経腸栄養剤注入食開始後の下痢症に対する消化態栄養剤ペプタメンの有用性の検討

演者 藤田 篤代(愛晋会中江病院内科)
共同演者 中路 幸之助(愛晋会中江病院内科), 松山 健次(愛晋会中江病院内科), 神津 知永(愛晋会中江病院内科), 熊本 光孝(愛晋会中江病院内科), 中江 遵義(愛晋会中江病院内科)
抄録 【目的・方法】経腸栄養剤注入食開始後の下痢はしばしば起こる合併症で,増悪すれば栄養状態不良となり全身状態悪化する場合もある.今回われわれは消化態栄養剤ペプタメン・スタンダードが下痢に効果的であった症例を経験したので報告する.【成績】現在までの使用症例数は6例で男性3例女性3例で年齢は70―90歳代であった.基礎疾患は脳梗塞2例,パーキンソン病1例,脳出血1例,誤嚥性肺炎1例,COPD1例であった.使用本数は1日1本から5本で期間は5日―35日間であった.6例中5例で翌日より下痢の改善がみられた.【考察】ペプタメンが栄養剤として下痢に効果のある機序は詳細不明であるがアミノ酸とペプチドでは吸収チャンネルが異なるため小腸の絨毛よりペプチドの方が容易に吸収され下痢を軽減するとされている.またMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)が高配合で脂質の約60%あり通常の脂質である長鎖脂肪酸の複雑な消化吸収過程とは異なり,膵リパーゼや胆汁酸を必要とせず,そのままの形で吸収され,門脈を通って肝臓に運ばれる.そのため通常の長鎖脂肪酸の3―4倍も速く消化吸収され,脂肪性の下痢の発生リスクを低減するとも考えられている.【結語】ペプタメンは現在侵襲時の早期経腸栄養剤として使用されているが当院での症例のように下痢・絶食明けに小腸の微絨毛のターンオーバー期間として一時的に使用することは有用であると考えられた.投与量や方法は決められたものはなく当院では使用を続けると便秘になる症例が見られ,今後使用方法の検討が必要であると思われた.
索引用語