セッション情報 | ポスター小腸 他 |
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タイトル | P-099:腸管ベーチェット病類似腸炎を合併する骨髄異形成症候群に対する治療アプローチ |
演者 | 中川 倫夫(千葉大学大学院腫瘍内科学) |
共同演者 | 小山田 新(千葉大学大学院腫瘍内科学), 峯村 荘子(千葉大学大学院腫瘍内科学), 齋藤 景子(千葉大学大学院腫瘍内科学), 宮村 達雄(千葉大学大学院腫瘍内科学), 佐塚 小百合(千葉大学大学院腫瘍内科学), 坪井 優(千葉大学大学院腫瘍内科学), 丸岡 大介(千葉大学大学院腫瘍内科学), 田中 健史(千葉大学大学院腫瘍内科学), 松村 倫明(千葉大学大学院腫瘍内科学), 新井 誠人(千葉大学大学院腫瘍内科学), 勝野 達郎(千葉大学大学院腫瘍内科学), 横須賀 收(千葉大学大学院腫瘍内科学) |
抄録 | 【背景】8番染色体異常(Trisomy 8)を伴う骨髄異形成症候群(MDS)に合併する多発潰瘍性腸炎の報告は少なく,自験例2例を含め報告は26例であるが,炎症性腸疾患に準じた治療を要する.【目的・方法】自験例並びに報告症例より治療戦略を検討する.【結果】症例1は57歳男性.原因不明の周期的な発熱と下痢,白血球増多を繰り返し,骨髄検査にてTrisomy 8を伴うMDS RA(不応性貧血)と診断.下血が出現したため大腸内視鏡検査を施行したところ,回盲部に類円形の多発潰瘍を認め,腸管ベーチェット病(腸管BD)類似腸炎と診断した.慢性閉塞性肺疾患が存在したため末梢血幹細胞移植(PBSCT)適応外であり,血中TNFαも高値(23.8pg/ml)であったことからプレドニゾロン,インフリキシマブ等が投与されたが治療効果は小さく,重篤な感染症を合併した.症例2は65歳男性.発熱,嘔吐,下痢,血便が出現.上部消化管内視鏡検査にて止血処置を要する胃潰瘍と大腸内視鏡検査にて終末回腸に多発潰瘍が認められた.また血液検査にて白血球18700/μlとともに芽球が8.5%認められ,骨髄検査にてTrisomy 8を伴うMDSの白血病化(RAEB-t)並びに腸管BD類似腸炎の合併症例と診断した.中心静脈栄養にて潰瘍は改善し,PBSCTが自家,近親者と二回施行されるも生着しなかった.PBSCT期間中に消化管出血は認められなかった.【考察】腸管BD類似腸炎を合併するMDSにおいて,その類型ではRAや鉄芽球を伴うRA(RARS)といった低リスク群が多い.感染症合併に十分留意した免疫抑制療法を検討する必要があるものの,輸血や補液,内視鏡的止血術といった対症療法中心の加療が最善策となる場合もある.RAEBなどの高リスク群ではPBSCTの生着が予後を決定するが,治療過程での白血球減少が腸管BD類似腸炎改善に寄与している可能性が示唆された. |
索引用語 |