セッション情報 ポスター

肝 生活習慣病

タイトル P-108:

C型慢性肝疾患における飲酒歴及び喫煙歴を有する者の生活習慣病についての検討

演者 大矢 良平(市立吹田市民病院内科)
共同演者 永瀬 寿彦(市立吹田市民病院内科), 湯口 清徳(市立吹田市民病院内科), 若松 周司(市立吹田市民病院内科), 笹川 廣和(市立吹田市民病院内科), 長谷川 大(市立吹田市民病院内科), 奥田 悠季子(市立吹田市民病院内科), 長生 幸司(市立吹田市民病院内科), 黒島 俊夫(市立吹田市民病院内科)
抄録 (目的)C型慢性肝疾患には高率に肝がんが発生する.飲酒,喫煙が加わればその頻度は増加する.一方,生活習慣病である肥満,糖尿病はそれだけで肝発癌の危険因子である.今回,C型慢性肝疾患において飲酒者,喫煙者の生活習慣病と関連血液検査項目について検討した.(対象)対象は当院に通院中のC型慢性肝疾患患者228例中,飲酒歴,喫煙歴が判明している178例である.検討項目は尿酸,空腹時血糖,血中インスリン,HOMA-IR,HbA1c,総コレステロール,LDLコレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪,肥満,糖尿病,高血圧,脂質異常症,脂肪肝,肝組織脂肪沈着の有無である.(結果)喫煙者は全体で53.4%,男性77.1%,女性15.9%と有意に男性で多かった(p<0.0001).飲酒者は全体で32.6%,男性46.7%,女性11.4%と有意に男性で多かった(p<0.0001).喫煙者は有意に高血圧が少なかったが(p=0.0411),糖尿病は有意に多く(p=0.0443),脂質異常症,肥満,脂肪肝,肝組織脂肪沈着には有意差を認めなかった.尿酸5.6,5.1mg/dl(p=0.0081),中性脂肪115.0,92.3(p=0.0041)は有意に高いが,HDLコレステロール50.6,60.5(p=0.0012)は有意に低く,空腹時血糖120.6,105.6(p=0.0740)は高値になる傾向があった.飲酒者は糖尿病に傾向差を認めた(p=0.0636).尿酸5.7,5.2(p=0.0112),空腹時血糖133.3,104.5(p=0.0013),中性脂肪115.2,97.9(p=0.0471)は有意に高かった.特に血糖高値(110以上)に寄与する因子はロジスティック回帰分析で飲酒歴,喫煙歴が有意な因子として抽出された(オッズ比2.857,3.264,p=0.0104,0.0129).(結論)C型慢性肝疾患患者にも飲酒者,喫煙者が多く,生活習慣病とその関連血液検査項目に異常を認めた.飲酒者,喫煙者は飲酒,喫煙だけでなく副次的にも日常診療で注意深い観察が重要である.高血圧に関しては横断的解析で喫煙者の血圧は非喫煙者に比し低いという報告が多いが,詳細な縦断的解析では喫煙は高血圧の危険因子であり,喫煙者の高血圧の解釈は複雑である.
索引用語