セッション情報 ポスター

肝 生活習慣病

タイトル P-109:

糖尿病患者における肝発癌・慢性肝不全症例の臨床的特徴

演者 安原 ひさ恵(三豊総合病院)
共同演者 三宅 康広(岡山大学病院消化器内科), 久保 文芳(小豆島町立内海病院), 河井 裕介(小豆島町立内海病院), 水重 知子(小豆島町立内海病院), 小川 貴司(小豆島町立内海病院)
抄録 【目的】糖尿病は肝発癌及び慢性肝不全の重要な危険因子と認識されている.今回,肝炎ウイルス非感染の糖尿病患者において,肝発癌および慢性肝不全発症例の臨床的特徴を検討した.【方法】HBs抗原とHCV抗体が陰性の糖尿病患者522例にて,肝機能評価と肝癌スクリーニングを施行した.全症例において飲酒量および投薬歴の聴取を行った.脾腫または食道胃静脈瘤,肝右葉萎縮・左葉腫大を認める場合を肝硬変,Child分類BまたはCの場合を慢性肝不全と診断した.【成績】対象症例の年齢は74(50-97)歳,女性が247例(47%).2例(0.38%)が肝細胞癌(HCC),15例(2.9%)が慢性肝不全と診断された.対象症例全体での多変量解析では,HCC,慢性肝不全と診断された17例で,HbA1c低値,HDLコレステロール低値,ワーファリン服用が関連因子として挙げられた.次に,男女間で臨床背景に差異を認めたため,男女別に危険因子についての検討を行った.男性ではALT低値{odds ratio(OR)0.81,95% confidence interval(CI)0.69-0.94},HbA1c低値{OR 0.26,95%CI 0.08-0.89},ワーファリン服用{OR 7.49,95% CI 1.2-46.6}が有意な関連因子であり,女性ではBMI {OR 1.12,95% CI 1.01-1.43}のみが有意な関連因子であった.男性のワーファリン服用者はCrが高値(1.1mg/dl vs 0.86mg/dl),虚血性心疾患合併(50% vs 18%)が特徴として挙げられた.【結論】肝炎ウイルス非感染の糖尿病患者における肝発癌および慢性肝不全発症例の臨床像は男女間で異なっていた.男性では動脈硬化,女性では肥満が臨床的特徴と考えられた.
索引用語