セッション情報 ポスター

膵 内視鏡治療1

タイトル P-116:

酢酸オクトレオチドを併用した超音波内視鏡ガイド下膵仮性嚢胞ドレナージ術の治療成績

演者 大谷 昌弘(福井大学医学部消化器内科)
共同演者 大藤 和也(福井大学医学部消化器内科), 尾崎 嘉彦(福井大学医学部消化器内科), 高橋 和人(福井大学医学部消化器内科), 内藤 達志(福井大学医学部消化器内科), 大野 崇(福井大学医学部消化器内科), 松田 秀岳(福井大学医学部消化器内科), 根本 朋幸(福井大学医学部消化器内科), 須藤 弘之(福井大学医学部消化器内科), 中本 安成(福井大学医学部消化器内科)
抄録 【背景と目的】超音波内視鏡ガイド下膵仮性嚢胞ドレナージ術(EUS-CD)は低侵襲性内視鏡治療として施行されるようになってきたが,その治療手技に関してはまだ一定の見解は得られてはいない.当科にてEUS-CDを施行した症例の治療成績について成功率と合併症を検討しその有用性を評価した.【方法】対象は2004年4月から2012年4月までに当科にて経験した膵仮性嚢胞16症例中,EUS-CDを施行した5症例で,男性4例/女性1例,平均年齢は47.6歳(18~79歳).原因はアルコール性急性膵炎3例,慢性膵炎急性増悪1例,交通外傷1例であった.仮性嚢胞の最大径の平均は89mm(5.0~11.8mm)であった.治療はEUS下に19G穿刺針で穿刺し,ガイドワイヤー留置下にニードルナイフで通電穿通を行い,ダイレーターで拡張後7Frの経鼻ドレナージチューブの留置による外瘻法(endoscopic nasopancreatic cyst drainage;ENCD)で行った.ENCD中は洗浄と酢酸オクトレオチド200μg/日の皮下注射を施行した.排液が減少した後にENCD tubeのクランプを行っても嚢胞の増大が無いことをCT検査で確認してからENCD tubeを抜去した.【成績】全5症例においてENCD留置に成功した.5例中4例において,嚢胞は縮小または消失し,ENCD tubeを抜去することが可能であった(平均ENCD留置期間19日).1例は術後CT検査で嚢胞の縮小を認めたが,嚢胞内に粒状の空気が散在し壊死物質の貯留が確認されたため,内視鏡的ネクロセクトミーを追加したところ速やかに縮小した.酢酸オクトレオチドの平均投与期間は11.2日であった.内瘻チューブを留置することなく治療後の経過観察を行っているが,仮性嚢胞の再燃は認めていない(観察中央期間1352日).偶発症は内視鏡的ネクロセクトミーを施行した1例に嚢胞内感染が発症した.【結語】ENCDと酢酸オクトレオチドの併用療法は偶発症も少なく,嚢胞消失と嚢胞再燃に関して良好な成績であった.
索引用語