セッション情報 ポスター

膵 内視鏡治療2

タイトル P-124:

アルコール不耐症患者の癌性疼痛に対するフェノールを用いた超音波内視鏡下腹腔神経叢ブロック術の検討

演者 石渡 裕俊(札幌医科大学第四内科)
共同演者 林 毅(札幌医科大学第四内科), 加藤 淳二(札幌医科大学第四内科)
抄録 【背景・目的】癌性疼痛に対する超音波内視鏡下腹腔神経叢ブロック(EUS-CPN)には神経破壊薬としてエタノールが用いられるが,アルコール不耐症では用いることができない.アルコール不耐症は,アルデヒド脱水素酵素(ALDH)の遺伝子多型により生じるが,本邦では不活性型は5%程度で,低活性型は40~50%程度とされている.フェノールは神経ブロックで一般臨床でも使用されているが,CPNにフェノールを用い評価した報告はみられない.そこで今回,アルコール不耐症の癌性疼痛に対しフェノールを用いたEUS-CPNを行い,有効性と安全性を評価することとした.【方法】2009年8月から2011年7月までに,切除不能膵胆道癌患者でアルコール不耐であった6名(63歳(52-74),男2,膵癌5胆嚢癌1)に対して,フェノールを用いたEUS-CPNを行った.同時期にエタノールを用いたEUS-CPNを施行した16例(71歳(47-83),男7,膵癌12胆嚢癌3CCC1)と比較検討した.CPNの方法はフェノール群でcentral 3,bilateral 1,神経節穿刺(CGN)2で,エタノール群ではcentral 4,CGN1 1,central+CGN 1であった.CPNの適応はNRS(numerical rating scale)で4以上とした.疼痛緩和効果は術後7日にNRSが3以下に低下した症例を有効,0-1になった症例を著効とした.アルコール不耐はエタノールパッチテストあるいはALDH遺伝子多型解析により判定した.治療前のベースラインにNRSが増悪あるいは麻薬増量を疼痛増強と定義した.【成績】1.術前のNRSはフェノール群で5(4-7),エタノール群で5.5(4-8)であった.有効症例は各々6例(100%),10例(63%)で,著効例は4例(67%),4例(25%)であった.2.疼痛増強がみられない症例は,30日後で3例(50%),7例(44%)と150日後で2例(33%),4例(25%)であった.3.偶発症はいずれの群でも認めなかった.【結論】アルコール不耐症の癌性疼痛に対するフェノールを用いたEUS-CPNはエタノールを用いたCPNと同等の成績であった.
索引用語