セッション情報 ポスター

膵 外科治療

タイトル P-127:

10mm以下浸潤性膵管癌の検討

演者 神藤 修(磐田市立総合病院消化器外科)
共同演者 落合 秀人(磐田市立総合病院消化器外科), 福本 和彦(磐田市立総合病院消化器外科), 宇野 彰宏(磐田市立総合病院消化器外科), 深澤 貴子(磐田市立総合病院消化器外科), 稲葉 圭介(磐田市立総合病院消化器外科), 松本 圭五(磐田市立総合病院消化器外科), 鈴木 昌八(磐田市立総合病院消化器外科)
抄録 浸潤性膵管癌は腫瘍径がTS1として発見されても,脈管侵襲等を伴い予後良好とはいえない.そのため,浸潤性膵管癌予後改善のためには,さらに早期の発見・切除が必要である.今回,当科で経験した腫瘍径10mm以下膵頭部浸潤性膵管癌に対し,その特徴を検討した.【対象・方法】2008年4月から2012年8月までに当科で切除した膵頭部浸潤性膵管癌20例の中で,腫瘍径10mm以下の浸潤性膵管癌は3例であった.これら3例の臨床病理所見について他の17例と比較検討した.発見契機や治療方法の比較のために,膵体尾部症例は除外した.【結果】膵頭部浸潤性膵管癌20例の年齢中央値は68歳(50-78歳),男女比は10/10で,手術は2群リンパ節及びSMA神経叢右半周郭清を伴う膵頭十二指腸切除を基本術式とし,門脈系静脈合併切除を7例(35%)に施行した.10mm以下浸潤性膵管癌(10mm以下群)3例の腫瘍径は5mm,9mm,9mmで,10mm超浸潤性膵管癌(10mm超群)17例の腫瘍径平均値は3.0cm(TS1/TS2/TS3=3/13/1例)であった.10mm以下群の発見契機は不明熱精査中CTで膵腫瘤指摘,健診USでの主膵管拡張,他疾患経過観察中の肝障害発現で,黄疸例は認めなかった.10mm超群は14例(82%)が黄疸例であり,初診時のT.Bil平均値は7.4mg/dlであった.病期は10mm以下群がStage I/III=2/1例,10mm超群がStage III/IVa=11/6例であった.10mm以下群で1例SMV合併切除を要したが,組織学的に浸潤は認められなかった.組織学的分化度は10mm以下群が全例高分化であるのに対し,10mm超群は中・低分化が6例であった.10mm以下群は3例とも術後経過良好で現在まで12ヵ月,3ヵ月,1ヵ月無再発である.一方,10mm超群の観察期間中央値は7.9ヵ月で,1年/3年生存率は50.3%/28.0%であった.【結語】短期間での成績であるが,10mm以下群の予後は期待できると考えられる.微小膵癌発見のためには,無症状のうちにスクリーニングUS等でいかに膵管拡張などの間接所見を拾い上げ,MRCP・EUSなどの精密検査を施行できるかが重要である.
索引用語