セッション情報 ポスター

膵 外科治療

タイトル P-129:

肝動脈分岐異常を有する膵頭十二指腸切除術の7例―癌浸潤を疑う肝動脈温存の可否―

演者 青木 丈明(大阪厚生年金病院外科)
共同演者 森本 芳和(大阪厚生年金病院外科), 弓場 健義(大阪厚生年金病院外科), 藤井 眞(大阪厚生年金病院外科), 赤丸 祐介(大阪厚生年金病院外科), 安政 啓吾(大阪厚生年金病院外科), 河野 恵美子(大阪厚生年金病院外科), 笠島 裕明(大阪厚生年金病院外科), 河合 賢二(大阪厚生年金病院外科), 大久保 悠祐(大阪厚生年金病院外科), 谷口 嘉毅(大阪厚生年金病院外科), 松浦 玲(大阪厚生年金病院外科), 岩本 和哉(大阪厚生年金病院外科), 山崎 芳郎(大阪厚生年金病院外科)
抄録 【目的】膵頭部領域癌症例において,変異を伴った肝動脈(aberrant hepatic artery,AHA)が腫瘍病変部を走行する際,同血管の温存が可能か否かしばしば判断に窮する.今回我々はAHAを伴った膵頭十二指腸切除術(PD)7例を経験したので報告する.【方法】症例の内訳は,膵頭部癌6例,下部胆管癌1例.AHAはA型(上腸間膜動脈(SMA)より右肝動脈(RHA)が分岐するtype)4例,B型(SMAより総肝動脈が分岐するhepatomesenteric type)1例,C型(腹腔動脈より右および左肝動脈(LHA)がそれぞれ独立分岐するtype)2例であり,AHAはすべて門脈背側を走行し全例に癌浸潤が疑われた.各症例についてAHAの温存,血行再建,合併症について検討した.【結果】症例1はA型で癌が高度浸潤しており,RHAを合併切除した.再建は施行せず.症例2はB型で膵実質内を走行するも癌の直接浸潤はなく血管は温存可能.症例3はC型で癌が浸潤したRHAと中肝動脈(MHA)を合併切除.MHAのみ再建.術後肝右葉への動脈血流は維持されていた.症例4と5はともにA型で血管は温存可能であった.症例5は癌浸潤を認めた門脈に対し合併切除を施行した.症例6はC型で癌の直接浸潤はなく血管は温存可能であった.症例7はA型で癌の直接浸潤はなく温存可能であった.術中測定した動脈血流の平均値はRHA 293ml/秒,LHA 172ml/秒であり,再建はPD-II4例,PD-IV3例であった.自験例において,根治切除するうえでAHAの5例は温存可能であり,2例は合併切除を余儀なくされた.AHAを切除し血行再建を施行しなかった症例1において術後繰り返す胆管炎を経験した.【結論】癌浸潤を伴った変異肝動脈を有する症例においても,根治的切除を考慮すべきであり,動脈の合併切除を余儀なくされる場合においては,血行再建を考慮すべきと考える.
索引用語